2000年11月18日「しんぶん赤旗」

 地震などの予知・監視体制の現状をどう見る?


 〈問い〉 地震や火山などによる災害を防ぐ上で重要な予知や監視の体制の現についてどう考えますか。(神奈川・一読者)

 〈答え〉 地震の発生や火山の噴火を人間の手で制御することはできませんが、災害に強い街づくりや避難訓練など、積極的な災害対策を実施すれば、被害を最小限に抑えることができます。災害対策の確立は、どの地域であっても不可欠の課題です。

 地震予知は、いつ、どこで、どのくらいの地震が起きるかを予測することです。噴火予知は、個々の火山の噴火規模、様式、推移等を予測することです。現状では、地震の発生機構、火山の地下構造や噴火の発生機構についての科学的知見がまだ十分に確立されていないために、適切な予知が可能な段階には至っていません。

 とはいえ、地震の発生準備過程段階、その最終段階、地震発生段階の各局面について、常時観測網によって明かされる地殻活動の様相と関連づける解明がおこなわれています。東海地震については、この成果を生かして前兆現象をとらえるために、観測体制が整備されています。噴火についても、適切な観測体制を整備し、火山活動の差し迫った高まりを把握する試みがおこなわれています。

 このような予知・監視体制の推進については、測地学審議会が関係大臣に建議するものとされています。地震予知では、観測強化地域、特定観測地域が指定され、また噴火予知では、対象火山を三分類で指定して、観測・研究の充実がはかられています。

 同時に、活断層の調査、過去の噴火歴の調査など基礎的なものや、GPS(汎〈はん〉地球測位システム)による電子基準点のデータなどを利用する観測・研究の充実、観測網・監視体制の整備、研究者・技術者の養成など、大きな課題も残されています。地震や噴火の予知を実現するには、地震学、火山学のこうした基礎研究の抜本的な振興によって、地震発生機構、噴火機構が十分に解明されることが期待されます。

 日本共産党第二十二回党大会決議案は、「日本は世界有数の地震国であり、火山国である」として「貧弱な監視・予知体制の抜本的強化、災害に強いまちづくりの推進」を呼びかけています。(柳)

 〔2000・11・18〕


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