2001年3月24日「しんぶん赤旗」

 日本が未批准のILO条約にはどんなものが?


 <問い>二百近くあるILO条約のうち、日本は四分の一程度しか批准していないと聞きます。批准していない条約にはどんなものがあるのですか。(茨城T・K)

 <答え>ILO(国際労働機関)は、労働条件の改善のための国際労働基準を設定することをそのもっとも重要な活動としています。ILO条約は加盟国の批准により効力を生じ、批准国は、その条約の規定を国内法にとりいれる義務を負います。

 これまで結ばれたILO条約は百八十三ありますが、そのうち日本が批准した条約は四十四条約です。ヨーロッパ諸国のフランス(百十五)、イタリア(百一)、イギリス(八十一)、ドイツ(七十六)などに比べ著しく低い水準にとどまっています(ヨーロッパの数字は九九年末現在)。

 とりわけ日本は、一号条約(一日八時間・週四十八時間制)をはじめ、四七号(週四十時間制)、一三二号(年次有給休暇)、一四〇号(有給教育休暇)など、十八本ある労働時間・休暇関係の条約を一本も批准していません。また日本は、一九九八年のILO新宣言(「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」)で「最優先条約」とされた八条約のうち、一〇五号(強制労働の廃止)、一一一号(雇用及び職業における差別待遇)、一八二号(最悪の形態の児童労働禁止)の三条約も批准していません。

 そのほか未批准の主な条約には、九四号(公契約における労働条項)、一四四号(国際労働基準のための三者協議)、一四八号(作業環境)、一五一号(公務労働者)、一五五号(労働安全衛生)、一五八号(使用者の発意による雇用の終了)、一七一号(夜業)、一七三号(労働者債権の保護)、一七五号(パートタイム労働)、一七七号(在宅形態の労働)、一八三号(母性保護)などがあります。

 全労連や連合もこれら未批准の条約の早期批准を求めています。

 条約の中には、現状に合わなくなりILOが見直しと整理を進めているものもありますが、日本がILO条約を四分の一しか批准していない事実は、労働者の権利にかかわるルールの確立で日本がいかに国際的に遅れているかを示しています。(内)

 〔2001・3・24〕


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