2001年2月24日「しんぶん赤旗」

 超低金利政策下、銀行の業務純益はなぜ増加?


 〈問い〉 超低金利政策のもとで大銀行はばく大な業務純益をあげているそうですが、業務純益とはどういうものですか。金利が低いのになぜもうかるのでしょう。(愛知・一読者)

 〈答え〉 銀行の業務純益は、国民・企業から預金を集め、企業などに貸し付けるという銀行の本業からあがる利益をさします。銀行のもうけを示す経営指標の一つです。

 業務純益は、貸付金金利などの本業による収益(業務収益)から、預金金利・人件費などの費用(業務費用)を差し引いて計算します。

 大手銀行十七行の九九年度決算での業務純益は、合計で約二兆九千八百億円。過去最高水準の業務純益になっています。

 超低金利政策は、日銀が金融調節(オペ)といって、銀行間でおこなわれる一日間だけの担保をとらない資金貸借の金利(コールレート無担保翌日物)を低く誘導することによっておこなわれます。この金利が引き下げられると、それに連動する形で銀行の企業などへの貸出金や国民の預金の金利を低くしますが、その際企業などへの貸出金の金利に比べ返済期間が相対的に短期の預金金利の方が先に引き下げられます。また、貸し出し先の企業は銀行より弱い立場なので、貸出金利はあまり下がりません。一方、預金をする国民も銀行より弱い立場なので、預金金利は大幅に下げられる傾向があります。

 これらの結果、大銀行は、この金利の違いからくる差益(利ざや)を拡大し、巨額の業務純益をあげているのです。

 こうして九年間にわたる超低金利政策の結果、銀行はばく大な業務純益をあげる一方、年金生活者を含め国民は預金金利の引き下げで約三十兆円にのぼる利子所得を奪われました。(龍)

 〔2001・2・24〕


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