2001年2月25日(日)「しんぶん赤旗」
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〈問い〉政府主導の市町村合併が各地で問題になっています。合併がおこなわれた自治体ではどんな弊害が出ているのでしょうか。(埼玉・一読者)
〈答え〉政府は、「平成の大合併」と称して、市町村合併を推進し、与党三党や財界などは全国で約三千二百あるいまの自治体を三分の一に減らしてしまおうと主張しています。
上からの合併押しつけが住民に何をもたらすか、いくつか自治体の例をみてみましょう。
東京都の秋川市と五日市町が合併し、一九九五年一月に生まれたあきる野市。両市町は合併時、「住民サービスは高い方に、負担は低い方に合わせる」と約束しました。しかし、約束は新市政誕生後次々にほごにされ、「行革」の名で、手数料の値上げ、公民館の有料化、各施設の使用料の大幅引き上げ等々、市民に負担増が押しつけられました。その一方で七階建ての豪華新庁舎建設(八十七億円)、圏央道関連の都市計画道路など大型プロジェクトがどんどん進められ、合併後、新たに認められた起債だけで五十三億四千三十万円も増えています。
岩手県の盛岡市と都南村の合併(九二年四月)で大きくなった盛岡市は、合併で大型開発中心の公共事業推進に拍車がかかり、東北の県庁所在都市中で借金依存度第一位に。市民の暮らし・福祉・教育は後回しにされ、保育料は東北で一番高く、在宅福祉サービスの提供は東北三県の県庁所在地で最低の水準になっています。また旧都南地域では、合併後は、旧村役場に市の都南総合支所が置かれ八課一室でスタートしましたが、課は年々減らされ、九七年には「課」体制そのものが廃止に。身近で住民の相談にのる仕事などが狭められました。
日本共産党は、昨年十一月の第二十二回党大会で、地方分権のかけ声ですすめられている市町村合併の押しつけの多くは、大型開発を効率的にすすめる体制をつくること、住民サービスを合併の機会に切り下げることなどにねらいがあると指摘しました。合併した自治体で生まれている弊害の実態はいまの市町村合併推進論のねらいを知る上で重要だと考えます。(豊)
〔2001・2・25(日)〕
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