2001年7月21日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 政府の「不良債権早期処理」方針の背景にはアメリカの要求があるとのことです。アメリカにとってどんな利益があるのでしょうか。(埼玉・一読者)
〈答え〉 「不良債権の早期最終処理」は、三月の日米首脳会談で、当時の森首相が米側の要求にこたえて公約し、六月の日米首脳会談でも小泉首相が「構造改革」の柱として約束したものです。
米国の要求の裏には、米国経済が減速するなか、日本の銀行が身ぎれいになり「ジャパンマネー」でもっとアメリカの国債や株を買い支えてもらいたいということがあります。また身ぎれいになる銀行があれば、おいしいところはアメリカの金融機関が買収したり、合併したりできるという思惑もあります。六月の首脳会談でブッシュ大統領が、「外国からの直接投資の促進が重要だ」とのべたのも、この思惑を代弁したものです。
三月の日米首脳会談の直前、米の店頭市場(ナスダック)は最大級の株安になり、続いて東京市場の株価が十六年ぶりに一万二千円を割りこむといったように、日米同時株安の状況を呈していました。このままでは米国へ資金が流れず、アメリカの株は大変なことになる――これが日本の銀行の不良債権早期処理というブッシュ政権の要求につながっています。
アメリカ側の要求には、日本経済は米経済に密接に関係しており、その日本経済が銀行の不良債権によって悪くなっているという認識があります。しかし日本経済の実際は、国民の消費の極端な冷え込みこそが不況を深刻化させ、その結果中小企業の売り上げが伸びず、銀行の不良債権が増えているのです。
小泉内閣の銀行応援策(不良債権の最終処理)は、赤字で苦しむ中小業者への融資を打ち切り担保を回収し、生きている企業をつぶしてしまうことです。これは大量倒産、大失業で不況に拍車をかける道であり、国民に激痛をもたらすだけです。日本共産党は、銀行やゼネコン応援の政治から国民の暮らしを直接応援する政治に切り替え、景気を回復させることを参院選の中で訴えています。(龍)
〔2001・7・21(土)〕
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