日本共産党

2001年7月26日(木)「しんぶん赤旗」

 政府はなぜプルトニウム循環方式に固執?


 〈問い〉 原発のプルトニウム循環方式は、外国では中止になっていると聞きます。それなのに日本政府は、なぜこの方式にこだわるのでしょうか。 (兵庫 N・T)

 〈答え〉 現在、運転中の原発(軽水炉という)は、燃料として、天然ウランに百四十分の一しか含まれないウラン235を使い、残り百四十分の百三十九のウラン238は捨てられます。これに対してプルトニウム循環方式は、ウラン238が中性子を吸収しプルトニウム239に変わることを利用し、高速増殖炉で燃やしたプルトニウム燃料を上回るプルトニウムを生成するというもので、政府は「夢の原子炉」と宣伝しました。

 しかし、これはあくまで理論上のことであり、実用化するには原発以上に技術的に未確立です。冷却材に使われるナトリウム技術が難しく、大規模な火災・爆発事故に見舞われるなど困難な問題をもっています。そのためイギリス、ドイツ、フランスはこの方式から撤退。アメリカもこの方式をやめました。ところが自民党政府は、国産のエネルギー資源が乏しいことを理由に、第一次原子力研究開発利用長期計画(一九五六年)以来、プルトニウム循環方式を原子力政策の根幹として位置づけ続けてきました。「もんじゅ」事故、再処理工場事故、JCO臨界事故など重大な事故は、この方式の主要部分で起きています。にもかかわらず政府は、事故原因をあいまいにしたまま、国民の安全を事実上後回しにし、無責任な「安全神話」にどっぷりつかって、この方式にしがみついているのです。

 こんな道理も見通しもないプルトニウム循環方式に日本の二十一世紀のエネルギー政策をかけるやり方は、根本から見直すことが必要です。日本にも、小型水力、風力、太陽光・熱、地熱、燃料電池などのエネルギー源はあります。原発依存をやめて、これらの研究開発を積極的に進め、環境にやさしい安定したエネルギー供給を確立すれば、国民生活の基盤を保障することができます。(柳)

 〔2001・7・26(木)〕


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp