日本共産党

2001年8月2日(木)「しんぶん赤旗」

プエルトリコにつく「自治領」とは?


 〈問い〉 アメリカの自治領プエルトリコのビエケス島で基地反対の運動が続いています。プエルトリコにつく「自治領」とはどういうことですか。住民の権利は米本国とどう違うのですか。(石川 M・N)

 〈答え〉 カリブ海にあるプエルトリコは、十六世紀以来スペイン領でしたが、植民地争奪をめぐる米国・スペインの戦争(米西戦争)後の一八九八年に米領となりました。そして、半世紀を経て一九五〇年に米議会で採択された法律で独自の憲法を持つことが承認され、これに基づいて五二年に住民投票で承認されたプエルトリコ憲法で米自治領(コモンウェルズ)となりました。

 原語のコモンウェルズは共和国や国民を意味する言葉で、必ずしも自治という意味は含まれていませんが、米国との関係が「自由に連合した自治」とされているところから、「自治領」と訳されています。

 プエルトリコの住民は、米国市民権を持ち米全国への旅行や移住は自由ですが、大統領選挙や上下両院議員選挙での選挙権はありません。米国大統領がプエルトリコの国家元首とされ、米国が外交、防衛権を持ちます。民選で選出されたプエルトリコ自治政府は米国内法と抵触しない範囲での内政自治権を持っています。

 プエルトリコは米下院に投票権のない常駐代表を送っています。

 プエルトリコでは従来から州昇格派、現状維持派が対立してきましたが、九三年と九七年の二度にわたる住民投票では現状維持派が勝利してきました。このほか独立を求めるグループも存在します。

 米国は、五つの主要海外領土を持っていますが、そのうち自治領となっているのはプエルトリコのほかサイパン島などの北マリアナ諸島です。

 北マリアナは米下院常駐代表を送っておらず、米領とされるグアム、バージン諸島、米領サモアは常駐代表を送っています。(夏)

 〔2001・8・2(木)〕


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