2001年8月9日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本共産党の財政再建策中に、歳入面で「直接税中心、総合・累進制・生計費非課税の民主的税制を確立する」とあります。この民主的税制とはどのようなものなのですか。(埼玉 T・K)
〈答え〉 民主的税制は、税負担の公平をはかるために近代社会で確立してきた租税原則で、日本では一九四九〜五〇年の米シャウプ使節団の勧告(シャウプ勧告)にもとづき戦後税制にとり入れられました。
直接税中心の原則は、税制は所得税、法人税など直接税を中心とし、消費税のような間接税によるべきではないという原則です。本来、税金は所得や資産に課税するもので、消費税のように所得のまったくない人からも一律に税金をとることは税負担の公平に反します。
総合・累進制の原則は、所得をすべて合算した上で所得の高い人ほど高い税率をかけるという原則です。直接税中心でも一律税率では低所得者に重くなります。そこで所得が増えるにしたがって、税負担も重くする累進制が必要です。さらに累進制が正しく働くように、各種の所得を合算して課税する総合制をとることで、初めて税の公平確保がはかられます。
生計費非課税の原則は、国民の最低生活費には課税してはならないという原則です。憲法二五条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を税制につらぬく上で、不可欠の原則です。
自民党政治は、一九八八年の税制「改革」を起点とする九〇年代「改正」で、所得の低い人ほど負担が重くなるという最悪の不公平税制である消費税導入と税率引き上げをはかり、直接税中心から間接税中心へと転換をはかりました。また大企業・金持ちへの大減税を立て続けにおこない、総合・累進制を大幅に緩和し、税収基盤の空洞化まですすめるなど、民主的原則をないがしろにしてきました。
大企業・高額所得者を不当に優遇する不公平税制を緊急にただすとともに、近代税制の基本に立った民主的税制に建て直す真の税制改革を断行することは、財政再建の上での重要な課題です。(若)
〔2001・8・9(木)〕
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