2001年8月11日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 小泉内閣は、これからの社会保障について「給付は厚く、負担は軽く」ではやっていけないといいます。実際はどうなのですか。(京都・一読者)
〈答え〉 小泉内閣が閣議決定した経済財政運営にかんする「基本方針」(いわゆる「骨太方針」)は、ご指摘のような主張をした上で、これからは「自助と自律」を基本にしないと、社会保障は「持続不能」になるとのべています。
実際はどうか。昨年と今年だけでも年金(賃金スライドの停止、支給開始年齢引き延ばし)、医療(老人医療一割定率負担)、介護(高齢者保険料満額徴収)、失業者対策(雇用保険料引き上げ)などで、約三兆円もの負担増と給付減が行われます。このように、実際は「負担は重く、給付は軽く」の連続でした。それでも足りず、もっと“痛み”を甘受すべきだというのが「骨太方針」です。
憲法は二五条で社会保障への国の責任をうたっています。ところが「骨太方針」はこれからの社会保障への国の責任にはまったくふれません。これまで社会保障財源に占める国庫負担の割合は、八〇年度から九八年度にかけて、29・2%から19・2%へと10%も減っています。社会保障が不安定になる最大の原因がここにあります。国の責任をあいまいにしたまま社会保障制度を「持続可能」にすることなど不可能です。
所得が少ない人や負担する力のない人に重い負担を押し付ければどうなるでしょうか。保険料が払えない人が増え、社会保険制度の基盤が崩れる、深刻な医療抑制を引き起こし患者の病状を悪化させ、医療費増大をもたらす等、社会保障を「持続不能」にしてしまいます。
日本共産党は、国でも地方でも社会保障を予算の主役にすえること、いまの給付削減・負担増計画を凍結し、(1)減らし続けてきた社会保障への国庫負担を増やす方向に転換する、(2)税でも社会保険料でも「能力に応じた負担」の原則を確立する、という二つの改革で国民が安心できる社会保障体系を作ることを提案しています。(豊)
〔2001・8・11(土)〕
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