2001年8月22日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 アメリカの態度をめぐって対人地雷全面禁止条約が話題になっています。これはどんな条約なのですか。(沖縄・一読者)
〈答え〉 対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)は、対人地雷を包括的に禁止する条約で、対人地雷の使用、開発、生産、取得、貯蔵、委譲の禁止と貯蔵地雷は四年以内、埋設地雷は十年以内に廃棄することなどを定めています(一九九七年調印)。ブッシュ米政権は七月下旬、同条約を放棄する方針を明らかにしました。
世界各地の紛争地帯に埋設されたまま放置されている対人地雷は六十八カ国に一億一千万発以上あるといわれ、一般市民に無差別に被害を与え、紛争終結後の復興開発にも大きな障害となっています。
同条約が生まれた原動力は、一九九二年に設立された非政府組織(NGO)のネットワーク「地雷禁止国際キャンペーン」の運動でした。キャンペーンに加わった世界の千を超えるNGOの圧力の中で地雷禁止への国際的な機運が高まり、九六年十月、カナダ政府主催で国際会議(オタワ)が開かれ、「オタワ・プロセス」といわれる条約制定への急速な動きが始まりました。同年十二月の国連総会決議や一連の多国間交渉を経て翌九七年九月、ノルウェーのオスロで開かれた条約交渉会議(八十九カ国が参加)で条約が採択され、同年十二月、百二十二カ国が調印しました。「地雷禁止国際キャンペーン」と調整者のジョディ・ウィリアムズさんには同年十二月、ノーベル平和賞が授与されました。
同条約は九九年三月に発効。批准を済ませた国は百十七カ国に達します。日本は九七年十二月に調印、九八年九月に批准しています。
米国は、条約交渉過程で地雷の朝鮮半島での例外使用を認めるよう主張し、これが認められなかったため調印を見送りました。クリントン前米政権は九八年、朝鮮半島以外では地雷使用を二〇〇三年までに中止することを表明し、条件が満たされれば二〇〇六年までに条約に調印する方針を明らかにしていました。(夏)
〔2001・8・22(水)〕
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