2001年9月15日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 東条英機元首相らをA級戦犯として断罪した「極東国際軍事裁判」は戦勝国による「不当な裁判」だという意見があります。日本共産党はどう考えていますか。(広島・一読者)
〈答え〉 東条英機元首相らは、日本軍国主義と侵略戦争を推進してきた中心人物でした。
日本は、一九三〇年代から一九四五年の敗北までの間、中国はじめアジア諸国、さらにはアメリカを含む太平洋全域に侵略戦争を拡大しました。この侵略戦争によって三百十万の日本人と二千万以上のアジア諸国民の命が奪われるなど、甚大な損害を与えました。ドイツのナチズムの犯罪と並ぶ、世界史上、未曾有の重大犯罪でした。
東条らは、この侵略戦争を計画・準備・遂行した責任者たちです。かれらが極東国際軍事裁判で「A級戦犯」として断罪されたのは、当然でした。
もともと、極東国際軍事裁判は、「戦勝国」が勝手につくった「不当」なものではなく、ポツダム宣言にもとづいて設置されたものです。日本が受諾したポツダム宣言には、日本国民を侵略戦争に駆り立てた権力・勢力の「除去」が明確にうたわれていました。
このポツダム宣言の精神にもとづけば、侵略戦争の最高責任者であった昭和天皇も断罪されるべきでしたが、日本占領軍の中心が米軍であったことから、アメリカの意向をうけて天皇は極東国際軍事裁判への告発をまぬがれたのです。極東国際軍事裁判には、そうした問題点もありましたが、東条ら「A級戦犯」の断罪そのものは、国際平和と人命尊重からも、歴史の教訓からも、当然の措置です。
一九四五年十月につくられた国際連合のもとで、戦争犯罪にかんする国際法がまとめられました。国連総会決議にもとづいて国際法委員会が一九五〇年に作成した「ニュールンベルグ原則」です。そこでは、(A)平和に対する犯罪、(B)戦争犯罪、(C)人道に対する犯罪、が規定されています。
また、二度と侵略戦争を繰り返さない決意をうたった日本国憲法の精神に照らしても、戦争犯罪人の断罪は、当然必要な措置でした。(竹)
〔2001・9・15(土)〕
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