2001年9月26日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 個人情報保護法案が国会に提出されているそうですが、この内容と日本共産党の態度を教えて下さい。(千葉・一読者)
〈答え〉 「個人情報の保護に関する法律案」は、先の通常国会に政府が提出したものです。
法案は、情報通信技術の発達で、大量の個人情報が利用されているなか、「個人の権利利益を保護する」ことを目的としていますが、その内容には大きな問題があります。
第一は、もっとも個人情報を収集、保管、利用している公的部門への対策強化を先送りにしていることです。例えば、九九年の住民基本台帳法の改正で個人情報ファイルのオンライン利用が可能となりますが、これにたいする十分な保護措置がありません。現行の「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」は欠陥が多く、抜本的改正が求められています。
第二は、法案が、自分の情報は自分でコントロールするという「国民のプライバシー権」を権利として守るという立場にたっていないことです。例えば、本人からのデータ開示要求や利用停止要求にたいしても、個人情報取扱事業者は、業務の都合などを理由に要求を拒否できる余地があります。この背景には、事業者の負担増に消極的な全銀協・経団連などの要求を優先する政府の姿勢があります。
第三は、「表現の自由」「報道の自由」に行政が介入する危険があることです。法案では、主務大臣が個人情報取扱事業者に、報告の徴収、助言、勧告、命令ができるようになっています。一応、「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関」、「報道の用に供する目的で取り扱う」個人情報は除外されていますが、報道機関でも報道以外の個人情報は対象となります。また「その他の報道機関」という規定では、出版社、フリーライターなどがあいまいです。得意先の個人情報への法的規制や報道機関の範囲を決めるなど行政介入の危険があります。(稲)
〔2001・9・26(水)〕
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