2001年9月30日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 大企業がリストラにあたって、希望退職者を募集すると募集人数をオーバーするといいます。どのように考えればよいのでしょうか。(京都・一読者)
〈答え〉 希望退職は大企業が解雇の形をとらないで、人員削減をするための手段となっています。一般紙では、会社が希望退職を募集すると、応募が殺到したと報道されていますが、失業率が過去最悪の5%に達し、再就職が容易でないときに、好んで失業者になりたい人はいません。退職希望が多い背景にはいくつか事情があります。
要因の一つは、退職金が割り増しになることです。最大月収の四年分とかが加算されるため、職場に残ってもまたリストラで辞めざるを得なくなるのでは、との不安から退職金が有利なうちに退職する人が出ています。
それだけでなく、企業側が退職に追い込むためにさまざまな手法を使っています。希望退職を募集すると、企業が辞めさせたい中高年が応募せずに、若い労働者が辞めることが多くあります。一定の年齢以上を対象にしたり、辞めさせたい労働者に面接を繰り返し、五回、六回と退職を強要する例もあります。
企業によっては労働者を「退職候補者」「残留者」「本人選択」にランク分けしています。「退職候補者」には「社内にはあなたに適した仕事はありません」と退職を迫り、「残留者」には辞めないように慰留します。
リストラ請負会社と契約して、「求人情報の提供」「能力開発を支援」するといって、あたかも退職しても活躍の場があるかのように宣伝して退職させる手法も使っています。実際に退職すると中高年の再就職は厳しく、失業したままでいる人も少なくありません。
早期退職優遇制度も事実上、希望退職と同じ役割を果たしています。大企業が新たな成長と利益拡大のために、希望退職などリストラを強行するのは、雇用を守る社会的責任を投げ捨てるものです。(沢)
〔2001・9・30(日)〕
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