2001年10月4日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本の賃金は購買力平価で見ると欧米より低いそうですが、本当ですか。購買力平価とはどういうものですか。(東京・一読者)
〈答え〉 購買力平価というのは、それぞれの国のなかで同じ内容、同じ量の商品やサービスを比較して、各国の通貨でどれだけのものが買えるのかを基準とした通貨の値打ちの比率のことをいいます。日米間で考えると、米国において一ドルで買えるものを日本で買うといくらかかるかを表すものです。例えば、一杯のコーヒーがアメリカで一ドルのとき、日本が二百五十円だとすると、購買力平価は一ドル=二百五十円となります。
購買力平価は、それぞれの品目の品質や規格の厳密な調整が困難であることや、比較できる品目数などの限界はありますが、投機などによって大きく変動する為替レートよりも商品価格を基準にするため安定しており、生活の実感に近い値が求められるので、賃金水準や各国の経済規模の比較などに使われます。
政府が出資する日本労働研究機構は、一九九八年の製造業の時間当たりの賃金を購買力平価と為替レートで比較した試算を出しています。
その試算によると、為替レートでは、日本を一〇〇とすると、アメリカ一〇二、イギリス七六、旧西ドイツ地域一四四、フランス一〇八となりますが、購買力平価で比較すると、日本一〇〇にたいし、アメリカ一四三、イギリス八九、旧西ドイツ地域一七三、フランス一二八となり、「生活の原資という意味での賃金は国際的にみてまだ低い水準である」(『データブック国際労働比較2001』日本労働研究機構)とされています。
この他にも、賃金の国際比較には、日本の未払い労働の「サービス残業」が考慮されていないという問題もありますが、財界などの“日本の賃金は世界のトップレベル”という主張は成り立ちません。(方)
〔2001・10・4(木)〕
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