2001年10月6日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 ダム工事などの入札で、落札価格が入札予定価格に近いとどうして問題なのですか?(秋田・一読者)
〈答え〉 ダムなどの大型公共工事では、複数の建設業者が入札価格を書き入れ入札するという競争入札の方式をとっています。
その際、発注者は、落札できる価格の上限として入札予定価格を決めます。下限として最低制限価格を決める場合もありますが、多くは、入札予定価格以下で最も低い価格を入れた業者が落札することになります。
しかし実際の入札では、落札価格の上限である入札予定価格に近い価格で落札するケースが圧倒的です。
日本弁護士連合会が今年二月に発表した「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告」によると、二十八都府県、八政令指定都市、二百五市町村の一九九八年度の平均落札率(入札予定価格に対する落札価格の割合)は建設省(当時)の調査で95・4%でした。
しかも日弁連が愛知県など四県について調査(二〇〇〇年度、一億円以上の入札約五十件)したところ、落札率が高いだけでなく、それぞれの入札では、落札した業者だけが入札予定価格以下で他社はすべて入札予定価格以上というケースがきわめて多いのが実態です。
先の日弁連の文書では、発注者から業者への入札予定価格の漏えい、それにもとづき業者間で「談合」が行われていることを裏付ける刑事記録も紹介しています。
三重県久居市の下水道談合の刑事裁判の記録では、自由競争での落札率は75%、80%となるのにたいし、「談合」では98%、99%と予定価格に近い価格で落札し、業者は不当な利益を得ている実態も明らかにしています。
このように入札予定価格に近い価格で落札するということは、業者間で「談合」を行い、業者が不正利益を得ている疑いがあり、結果として公共事業費のムダ遣いになるため、問題なのです。(山)
〔2001・10・6(土)〕
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