日本共産党

2001年10月10日(水)「しんぶん赤旗」

 雇用のミスマッチをどう考える?


 〈問い〉政府は、失業者が増えるのは「雇用のミスマッチ」のせいだといいますが、そうなのでしょうか(神奈川・一読者)

 〈答え〉「雇用のミスマッチ」というのは、労働力を求める求人側と仕事を求める求職側の要求が合わないことをいいます。小泉首相は臨時国会の所信表明演説や答弁で「公共職業安定所には、求職者を上回る年間700万人もの求人がある」「求人と求職のミスマッチを解消しなければならない」と繰り返しています。

 小泉首相のあげた「700万人」というのは、職安に毎月出てくる新規の求人数を積み上げただけで、労働力の需給実態を反映しない数字です。実際には、就職できない失業者は月をこえて求職活動しており、前月から繰り越した求職者を加えた「有効求職者数」と繰り越した求人数を加えた「有効求人数」でみなければ実態はわかりません。

 厚生労働省の一般職業紹介状況の八月分をみると、有効求職者は255万人、有効求人は147万人であり、108万人分の仕事がない計算です。

 求職者1人に対しどれだけ求人があるかを示す有効求人倍率は、8月は0・59です。100人が仕事を求めていて59人分の仕事しかありません。小泉首相の発言は、失業の深刻さを過小にみせる意図的なものです。

 いま失業者が増えている原因は「雇用のミスマッチ」ではなく、大企業が大規模なリストラ・人減らしをしているためです。「雇用のミスマッチ」という主張は、就職できないのは、失業者が仕事のより好みしているからだとして、失業の責任を労働者に押しつけ、大企業や政府の責任を免罪するものです。

 同時に、求人はたくさんあるから、人が余っている企業はどんどん人減らしをしてよいという主張と一体のものです。リストラを推進する立場です。

 いま必要なことは、大企業のリストラをおさえ、雇用を守るルールをつくること、サービス残業の解消や年次有給休暇の完全消化をはじめ労働時間短縮により雇用を拡大することです。(沢)

 〔2001・10・10(水)〕


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