2001年10月17日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 人種差別撤廃条約の対象に同和問題や沖縄の人たちを含めることが問題になっていますが、どういうことですか。(埼玉・一読者)
〈答え〉 国連は、一九六〇年前後のネオ・ナチズム活動や、南アフリカのアパルトヘイト政策などをふまえ、六三年に人種差別撤廃宣言を採択、人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)を、六五年の第二十回国連総会で全会一致で採択しました。
日本は、九五年十二月に条約を国会承認(九六年一月発効)しましたが、日本政府は、条約の批准にあたり、条約に部落差別は含まれないこと、同条約第四条(人種優越主義にもとづく差別および扇動の禁止)については、集会結社・表現の自由など、憲法に抵触しない限度で履行するとして、留保の態度をとってきました。
ところが暴力的「確認・糾弾」で同和対策を利権の対象としてきた部落解放同盟(解同)などは、来年度の国の同和特別事業の終了に伴い、国連の権威で、何とか特権・利権を継続させ、さらに言論を「差別」として抑圧する憲法違反の「差別禁止法」をつくる後ろ盾にしようと、国連に「部落差別」を条約の対象にするための猛烈なロビー活動をしました。
その結果、今年三月に国連の人種差別撤廃委員会は日本政府に対する見解で、「部落民」と「沖縄住民」を条約の対象としました。しかし、沖縄では米軍基地や経済格差問題などの解決が求められていますが、これは人種差別などではありません。部落住民も「同和対策審議会答申」(六五年)が「同和地区の住民は異人種でも異民族でもなく、疑いもなく日本国民である」というように、人種差別でないのは当然です。
部落差別は、封建的身分制度の残存物であり、すでに歴史的にも解決段階にあります。部落差別を意図的に人種差別と混同することは、部落問題に無用な混乱をもたらし、その解決を遠ざけるものです。(塩)
〔2001・10・17(水)〕
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