2001年10月24日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 サービス残業解消のため、厚生労働省が出した通達というのはどんなものなのですか。(愛知・一読者)
〈答え〉 厚生労働省は今年四月六日に、サービス残業(ただ働き)の解消に向けた通達(基発三三九号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」)を出しました。
これは、労働時間を会社側が把握・管理せず、残業申告の限度をつけて労働者自身に偽りの「自己申告」をさせるなど、サービス残業の実態にたいして、企業に労働時間の正確な把握・管理・記録を義務づけたもので、「サービス残業『撤廃』通達」とよべる画期的なものです。
その内容は、(1)「使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らか」と使用者の責務であることをはっきりさせ、(2)「労働日ごとに始業・終業時刻を使用者が確認し、これを記録する必要がある」と、タイムカードやICカードなどの客観的な記録を基礎とするなど、使用者に労働時間の把握・管理の具体的な方法を指示、(3)サービス残業まん延の原因である「自己申告制」の採用を限定的なものとして制限し、労働者や労働組合から不適正な把握であると指摘があった場合にも実態調査をおこなうこと(これは実際に残業記録の開示・閲覧となる)、残業時間数の上限の設定などの改善を指示。この通達を労働者・使用者にたいし全国規模で集中的に周知することとし、重大悪質な企業には「司法処分」で対処するとしています。
日本共産党は、一九七六年から百五十回を超える国会質問で、サービス残業の具体的な事実をとりあげて追及して調査指導を迫り、二〇〇〇年に「サービス残業根絶法案」を提出。職場からの労働基準監督署への「申告」活動の粘り強い運動、電通「過労自殺」裁判での会社の労働時間管理の責任を断罪する判決などとともに、通達を出させる力となりました。(活)
〔2001・10・24(水)〕
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