日本共産党

2001年11月29日(木)「しんぶん赤旗」

 パンナム機爆破事件の経過は?


 〈問い〉 テロの容疑者を国際的な裁判にかけたパン・アメリカン航空機事件はどんな経過ですか。(埼玉・一読者)

 〈答え〉 事件は一九八八年十二月二十一日、英スコットランドのロッカビー村上空で発生し、乗客乗員二百五十九人と住民十一人が死亡しました。(通称ロッカビー事件)。英米当局は九一年十一月二人のリビア情報機関員の関与を断定。同月、スコットランドの検察が殺人謀議などで告発し、英米はリビア政府に容疑者の引き渡しを要求しました。

 引き渡しはリビアの抵抗に遭いましたが、国際的な働きかけで九九年に実現。二〇〇〇年五月に、スコットランドの法律を適用する裁判がオランダで始まり、今年一月、主犯格の一人は終身刑に、もう一人は無罪となりました。主犯格は控訴し、裁判は継続中です。

 この裁判にいたる国際社会の努力が重要でした。国連の安全保障理事会は九二年一月、容疑者引き渡しをリビアに促しました。九二年三月、リビアがこの決議にこたえていないことなどをふまえ、経済制裁も決めました。それでもリビアは事実上引き渡しを拒否したため、安保理は、九三年十一月、経済制裁強化を決めました。リビアへの航空機乗り入れ停止、航空機部品等の供給禁止、武器や関連機材の禁輸などに加えて、リビア在外資産の凍結、石油関連機器の禁輸も盛り込まれたのです。

 そして、経済制裁が続くなか、南アフリカ、サウジアラビア、国連が仲介に動き、英米とリビアが協議し、容疑者の引き渡しが決まりました。

 この努力について日本政府も、九九年四月の外務大臣談話で「十年にわたるロッカビー事件の解決に向けて、すべての当事者が行ってきた忍耐強い努力を高く評価する」としました。

 裁判による犯罪の処罰は人類が生んだ英知の一つです。裁判によってこそ真相を徹底的に究明することができるでしょう。(

 〔2001・11・29(木)〕


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