2001年11月3日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 企業が面接を繰り返すなどで、転籍や退職を強要することに法的な規制はないのですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 別会社への転籍は本人の同意がなければできません。このことは、民法六二五条で、「使用者は労務者の承諾あるに非されは其権利を第三者に譲渡することを得す」と定められ、最高裁は「労働契約の一身専属性にかんがみ、労働者の承諾があってはじめて転属が効力を生ずる」(最高裁第一小法廷、昭和四十三年(オ)第一一二二号 昭和四十八年四月十二日判決)としています。転籍の拒否を理由とした不利益扱いや解雇は無効です。
NKK京浜製鉄所では、一九九九年に五十五歳以上の労働者の全員転籍を計画しましたが、日本共産党が国会で年齢による転籍強要は、実質的な定年引き下げであり、定年は六十歳を下回ることができないとしている高年齢者雇用安定法四条に違反するなどで追及。労働者の指導要請に、神奈川労働基準局は、本人が最初から転出に応じるつもりがないと申し出、面談の中止を求めているのに四回目の面談をした行為は、「勧奨行為に許容される限度を超えるとの疑念がある」とし「行き過ぎた面がみられるので、…特段の事情がない限り、再度の面談を行わないこと」と、会社に「労働基準法一〇五条の三第一項に基づく助言」(当時)をし、転籍の強要を中止させました。(現在は「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」で対応)
また、今年四月に施行された商法改定による会社分割制度を使った新会社への転籍が各社で相次いでいますが、この場合、労働契約承継法により一方的な労働条件の不利益変更はできません。
しかし、日本では、転籍や退職の強要に対するしっかりとした法的な規制が確立していません。日本共産党は、退職、出向、転籍の強要を禁止する「解雇規制法」など、雇用をまもるルールをつくることを求めています。(槻)
〔2001・11・3(土)〕
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