2001年11月7日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 国際刑事裁判所が発足するまで、アメリカへのテロ事件にたいしてどのように対処すればいいと考えますか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 国際犯罪を裁く国際刑事裁判所は、一九九八年に設置のための規定が採択されたものの、批准した国が必要な数(六十カ国)に達しておらず、まだ発足していませんし、テロ問題そのものは直接の対象にしていません。
そこで、日本共産党は次のように対処することを提案しています。
まず第一に、国連として今回のテロ事件にたいするオサマ・ビンラディンらの容疑を公式に確認して、身柄の引き渡しをタリバンに要求する。具体的には安全保障理事会の決議によっておこなうことになるでしょう。
第二に、それに応じない場合、国連憲章に基づく強制措置を講じる。憲章の四一条は、経済制裁などの「非軍事的な強制措置」を決めています。アフガニスタン国民に人道上の被害が及ばないように配慮しながら、この非軍事的措置を徹底し、それでもなお応じない場合は、四二条に基づいて「軍事的措置」をとることもありえます。「軍事的措置」といっても、基本的には容疑者の逮捕に必要な警察的な行動が想定されます。
第三に、引き渡しを実現したら、全容を解明して厳正な裁きを行う。事件の国際的性格を考えれば、安全保障理事会の決議などによって特別の国際法廷を設置することも検討されるべきでしょう。
これが日本共産党の提案ですが、こうした対処には前例があります。八八年、二百七十人の命が奪われたパン・アメリカン航空機爆破事件では、国連による経済制裁を含む対応によって、一昨年、リビアが容疑者の引き渡しに応じ、昨年、ハーグで裁判が開始されました。また、民族の虐殺や大量追放などが問われたルワンダと旧ユーゴスラビアについて、安保理決議に基づいて特別の国際法廷がそれぞれ設置され、裁判が続いています。(小)
〔2001・11・7(水)〕
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