2001年12月29日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 教育基本法の「見直し」が諮問されましたが、何が問題になっているのですか。(熊本・一読者)
〈答え〉 十一月二十六日に開かれた中央教育審議会(鳥居泰彦会長)に教育基本法の見直しが諮問されました。二〇〇二年一月に基本法問題を検討する分科会が設置され、本格的論議が始まる見込みです。
遠山文部科学大臣は諮問にあたって、教育基本法の前文の見直しまで言及しました。
前文の神髄は「(憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」ということです。二十一世紀にも引き継がれるべき、教育の基本的な目標であり、ますます徹底させる必要があります。
第一条には、「平和的な国家及び社会の形成者」の育成が、かかげられています。どのような国家・社会の形成者かという方向が示されているのが大事な点です。ここには戦前の教育への反省があります。諮問内容では「伝統、文化の尊重など国家、社会の形成者」とされ、「平和的な」の文言が取り除かれて形成すべき国家・社会の方向づけがなくなっています。
このように、前文、第一条の基本理念から第一〇条の教育行政のありかたまで、全面的に見直しの対象となっています。
中教審の審議では見直しに疑問の声もありますが、「教育勅語には人間のすべきこと、心がけが書いてあるんです。それが今の日本にはない」など“教育勅語礼賛”の発言が会長から出ています。
一方、中曽根元首相が十一月五日のシンポジウムで「(憲法改正の論議が)今、力強く出始めています。そういう状況を考えると、教育基本法の改正に、すぐにでも着手すべきであると思います」と発言しました。
教育基本法の見直しが、憲法改悪と「歩調」をあわせて行われようとしています。(平)
〔2001・12・29(土)〕
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