日本共産党

2002年2月27日(水)「しんぶん赤旗」

京都議定書 アメリカの代案は「建設的」?


 〈問い〉 温暖化ガス削減の京都議定書にブッシュ米政権が出した代案を、小泉首相は「建設的な提案」と述べていますが、本当ですか(奈良・一読者)

 〈答え〉 ブッシュ米大統領は十四日に、離脱した京都議定書に代わるアメリカの温暖化対策を発表しました。しかし米案は、温暖化ガスの削減どころか増やすことを許容し、拘束力もないものです。日本のマスコミやNGOも「意欲と実効欠く米国案」(「日経」16日付社説)、「これは京都議定書の代替案ではない」(気候ネットワーク)と批判し、海外でも非難が起こっています。先の日米首脳会談で「建設的な提案」と持ち上げた小泉首相の発言は異常なものです。

 米政権の代案の中心点は、国内総生産(GDP)当たりの温暖化ガス排出量を、十年間に18%減らすことです。けれどもGDP当たりの目標では、GDPが増えるにしたがい、目標の排出総量も増えてしまいます。

 たとえば年率3%の経済成長なら十年後のGDPは一・三四倍、18%削減したとしても目標排出総量は一・一〇倍になります。10%増えても目標達成というのでは、温暖化ガス削減につながる効果などありえません。

 しかも京都議定書の削減目標の基準年が一九九〇年なのに、米案は二〇〇二年を基準年にします。この間の増加分はまったく問題にされていません。罰則など法的拘束力もありません。

 一九九七年の京都議定書は、工業国の温暖化ガス総排出量を削減するのが眼目です。九〇年比で日本6%、EU8%の削減目標を、二〇〇八年から一二年までのいずれかの年に達成することになっています。離脱した米国も7%の削減目標でした。

 日本は京都議定書の策定会議の議長国でしたが、具体化する国際会議では抜け道づくりを画策して会議を難航させ、昨年十一月「化石賞」を贈られました。今回の米案を「真剣に取り組む姿勢を示すもの」(川口外相、大木環境相)とする対応は、政府自身の目標達成の決意を疑わせます。

〔2002・2・27(水)〕

 


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