2002年3月2日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本のODAは相手国にはあまり役に立っていないなどの批判をよく聞くのですが、どんな問題があるのでしょうか。(東京・一読者)
〈答え〉 日本のODA(政府開発援助)は、▽アメリカが戦略上重視する地域に重点配分▽大企業の海外進出促進の手段として利用▽徹底した秘密主義―という特徴があり、大変ゆがんだものになっています。
このゆがみを援助の内訳からみると、食料支援など人道援助の比重や医療・教育施設など社会インフラの比重が低い一方で、空港・港湾・ダムなど経済インフラ整備の比重が高いことがあげられます。OECD(経済協力開発機構)の途上国援助策を調整しているDAC(開発援助委員会)加盟国の比較でも、一九九九年の食糧援助など緊急援助はDAC平均が11・1%なのに対し日本は2・9%と極めて低く、逆に経済インフラではDAC平均17・2%に対し31・5%と突出しています。
また開発資金を貸し付ける円借款が多いのが日本の特徴で、ここでも日本の大企業の発注比率が高いことや、鈴木宗男疑惑にみられるような利権政治家の暗躍が指摘されています。
援助対象国では、アメリカが軍事戦略重点国とみなすインドネシアやタイなど十数カ国に、日本は長年、傾斜配分を続け、八〇年代には韓国の全斗煥政権やフィリピンのマルコス政権のような軍事独裁政権にも多額のODAを支出しました。一方、援助を切実に必要としているLLDC(後発開発途上国)には極めて少なくなっています。
手続きでは決定過程が極めて不透明です。たとえば円借款プロジェクトでは、借入国政府の申請→関係省庁が協議し内容を決定→借入国政府と交渉→交換公文署名→海外経済協力基金が借入国と借款契約を結び貸付業務…と進みますが、交換公文締結の事実が公表されるほかは、借入国の主権や企業秘密を理由に非公表が原則です。
人道援助増額や、ODA案件を公表し国会審議対象とするなど改革が必要です。(水)
〔2002・3・2(土)〕
機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。
著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp