2002年3月20日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 政府は新しい高齢者医療制度の基本方針策定にのりだしたそうですが、何をねらっているのでしょうか。(広島・一読者)
〈答え〉 この三月に政府が国会に提出した医療制度改悪法案は、高齢者医療について▽医療費の自己負担の上限や、一部の定額制を取り払い、所得に応じ一、二割の自己負担とする▽新たに、一般高齢者の通院では月一万二千円、などの支払い上限額を決めるが、超過分もいったん窓口で払うものとし、払い戻しを受けるには申請が必要▽対象年齢を現行七十歳以上から七十五歳以上に段階的に引き上げる―などとしています。
また法案の付則で「新しい高齢者医療制度」を創設するために、二〇〇二年度中に基本方針を策定すると明記しています。
「新しい高齢者医療制度」には、小泉首相が厚生大臣だった九七年にまとめた「二一世紀の医療保険制度(厚生省案)」という青写真があります。これは▽いまの医療保険制度とは別建ての「新しい高齢者医療制度」を創設▽高齢者も一〜二割程度の患者自己負担▽すべての高齢者から保険料を徴収し高齢者医療費にあてる―という内容でした。
このように政府がねらう「高齢者医療制度」は(1)すべての高齢者から保険料を徴収し(2)かかった医療費の一〜二割の定率負担をさせ(3)基本的に各種健康保険からの拠出金と国・自治体の支出で支えている現行制度を、高齢者自身の負担を高めた別建ての医療制度にする―という方向です。その財源として消費税増税もねらわれています。
今回の改悪案はその方向にさらに一歩踏み出すもので、深刻な受診抑制をさらにひどくし、健康破壊と医療費の増大を招きます。健康保険から老人医療費への拠出が大きくなっているのは事実ですが、最大の問題は国が医療費の国庫負担率を削減してきたことです。公共事業や軍事費の浪費を削り、社会保障を予算の主役にすえ、国庫負担を計画的に増やす方向を目指すべきです。
(博)
〔2002・3・20(水)〕
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