2002年3月31日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 国立大学教職員の非公務員化をもりこんだ報告書が出されたそうですが、どんな内容なのですか。 (埼玉・一読者)
〈答え〉 国立大学の独立行政法人化を検討してきた文部科学省の調査検討会議は三月二十六日、国立大学制度を解体して「法人」にし、十二万五千人の全教職員を「非公務員」化するとの最終報告をまとめ、遠山文部科学相に提出しました。
「新しい『国立大学法人』像について」と題する報告書は、教職員の身分について、独立行政法人化後は「弾力的で多様な人事制度を実現する観点」から「非公務員型」の選択を唱え、営利企業などへの兼職・兼業の規制緩和ももりこみました。
非公務員化のねらいは、政府・財界に都合のよい大学再編を進めることです。教職員の雇用や身分を不安定にし、「学問の自由」を保障する教育公務員特例法の規定もはずされます。
教育公務員特例法は大学教員の職務を「教育を通じて国民全体に奉仕する」(第一条)ことと規定しています。非公務員化はこの大学教員の立場を弱め、営利企業の兼職などによって大企業の利潤追求に奉仕することになりかねません。
また、教育公務員特例法の、教授会による教員選考などの人事権や、評議会による学長選考などの適用をはずすとしています。戦前、大学に権力が介入した歴史の反省にたち、憲法二三条の「学問の自由」を守るため定められた法的保障が崩されることになります。
他方、最終報告は▽文科相が決めた各大学の目標の達成度評価を大学への交付金配分に反映▽大学の重要事項を決定する「役員会」に大企業など学外者が参加―など大学の教育研究や経営が政府・財界の意向に左右される仕組みを入れました。
この方向では「学問の府」としての大学の自由を損ない、地道な基礎研究はなおざりにされ、幅広い学問分野の教育は成り立たなくなります。劣悪な研究教育条件や高学費の改善にも逆行するものです。
(博)
〔2002・3・31(日)〕
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