日本共産党

2002年4月4日(木)「しんぶん赤旗」

温暖化対策 政府「大綱」決定されたが…


 〈問い〉 政府は京都議定書批准のための「大綱」を決定しましたが、温暖化ガスの削減目標は達成できるのですか。(新潟・一読者)

 〈答え〉 政府は三月十九日、新たな「地球温暖化対策推進大綱」(新大綱)を決定しました。工業国などの温暖化ガス削減の義務を定めた京都議定書の批准に備えたものです。同議定書は二〇〇八年から一二年の期限までに、温暖化ガスを一九九〇年比で6%削減するよう日本に求めています。

 ところが新大綱では、6%の削減目標のうち国内対策で削減するのはわずか0・5%分にすぎません。それも産業部門は業界の自主行動計画だのみで、民生部門は▽電力消費の少ない電子レンジへの買い替え▽シャワーを一日一分減らす…など列挙し、個人の努力に大きく依存します。残る5・5%分は森林吸収3・9%、排出権取引1・6%などに頼る計画です。

 もともと温暖化ガス排出の大半を占める工業国に課せられた5%の削減目標自体が、地球温暖化防止に必要とされる50〜70%削減に比べ極めて不十分な数値です。日本が国内対策で6%を確実に実行することは最低限の責務のはずです。それを森林吸収や排出権などに頼るのは温暖化ガスの大量排出国として無責任な態度です。

 また、削減の柱に原発推進をすえ、二〇一〇年度までに原子力発電量の三割増が必要などとしているのも大問題です。この間、九九年の茨城県東海村臨界事故など、相次ぐ事故で安全神話が完全に破たんし反対世論が広がっています。京都議定書を原発増設の口実に利用するのは、温暖化対策への国民の不信を募らせるだけです。

 もはや待ったなしの温暖化防止を確実に進めるには、各国政府の地球規模での活動とともに、企業などの開発・経済活動の規制、個人の消費生活面での努力という、三つの視点での真剣なとりくみが必要です。議定書の早期批准に抵抗し、規制のないとりくみに固執する財界の責任は特に重大です。

〔2002・4・4(木)〕

 


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