日本共産党

2002年4月7日(日)「しんぶん赤旗」

外形標準課税をどう考える?


 〈問い〉 東京都「銀行税」への地裁判決や、政府が全業種一律の「外形標準課税」導入の動きを強めていることを、どう考えたらよいのでしょうか。 (徳島・一読者)

 〈答え〉 東京都の「銀行税」は、担税力(税金を負担する力)があるのに、税のがれをしている大手銀行に税金を払わせるためのものでした。一方、政府が早期導入をねらっている「外形標準課税」は、経営実態がまったく異なる大企業も中小企業も一律に課税するもので、東京都の「銀行税」とはまったく反対の性格をもちます。

 東京都の「銀行税」は、五年間だけに限って、資金量五兆円以上の大銀行の「業務粗利益」に課税します。「業務粗利益」とは、銀行の本業収入である業務純益(貸し付け金利と預金金利・費用の利ざやなど)に人件費などを加えたもので、一般企業の付加価値に近いものです。売上高や人件費、工場面積など外から見てわかるものを基準に課税する「外形標準課税」の一種とされています。

 大手銀行は、政府の超低金利政策で安上がりに資金を調達し、この不況のなかでもバブル期を上回る数兆円もの「利益」を上げてきました。ところが不良債権処理と称して多額の費用を「利益」から差し引き、課税対象所得を大幅に圧縮して、ほとんど税金を払っていませんでした。都の「銀行税」は、もとの課税対象所得に光をあてたものです。三月に都の「銀行税」を「違法で無効」とした東京地裁は、銀行の担税力を適切に反映するのは所得、などとしますが、大銀行の税金のがれの実態をみないもので、東京都の控訴は当然です。

 これに対して、政府・与党がねらう法人事業税への「外形標準課税」導入などでは、売上高や人件費などを基準に全国・全業種一律に課税します。もともともうけが薄く人件費の比重が高い、中小企業に重くかかる税制です。そのうえ大不況の中で赤字経営になっていても容赦なく税金をむしり取られます。その一方で大企業には減税となる不公平なものです。

〔2002・4・7(日)〕

 


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