2002年4月10日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 学校の完全五日制が始まりましたが、子どもの学力など不安がつきません。どうしたらよいのでしょうか。(石川・一読者)
〈答え〉 ほんらい学校五日制は、子どもの権利条約・第三一条の「休息・余暇、遊び、文化的芸術的生活への参加の権利」を豊かに保障する大事な一歩となりえます。ところが政府は、国民の不安の強い、子どもの学力保障や土曜日の居場所などについてまともな方策を持っていません。学校五日制を実りあるものにする政治や社会の真剣なとりくみが必要です。
政府がすべての子どもたちに基礎学力を保障する立場に立っっていないことが、学力をめぐる不安の大きな原因です。基礎的な事柄が十分のみこめないまま授業がどんどん進んでしまい、子どもたちは学年をおうごとに授業がわからなくなっています。教育行政が学習指導要領をたてに学校と教師をしばりつけていることも、必要な手立ての障害になっています。
各学校の自主的で多様な教育を保障することや、三十人学級など教師が子どもたちにていねいに教えるための条件の整備、問題の多い新学習指導要領を、現場の教師や父母をはじめ国民の英知を集め見直すなどのとりくみが重要です。
週末の子どもを受け入れる地域環境の整備も大きく立ち遅れています。政府が七〇年代に一万二千カ所の目標を決めた児童館さえ約四千カ所にすぎず、十代の青少年が気楽に集まれる公的施設もほとんどありません。
こうした子どものための施設の抜本拡充が不可欠です。とくに学童保育や障害をもつ子どもの条件整備が急務です。遊びやスポーツ、自然体験など、子どもと親、地域の自主的運動をいっそう広げることも大切です。
親たちがゆとりをもって生活してこそ、子どもたちの学校五日制も豊かになります。無法なリストラ・解雇の規制やサービス残業の根絶、勤労者の週休二日制と有給休暇制度の充実も欠かせません。
(清)
〔2002・4・10(水)〕