2002年4月20日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 国の財政支出が減らされたので医療費が高くなったとのことですが、具体的に国はどのくらいの財政支出を減らしたのでしょうか。n(東京・一読者)
〈答え〉 歴代自民党政権は、一九八〇年代から、患者負担などを引き上げ、医療費への国庫負担割合を減らしていく政策を続けてきました。厚生労働省の「国民医療費」の統計でも、八〇年度に30・4%だった国庫負担割合が、九九年度には24・9%にまで落ちています。九九年度の国民医療費は三十兆九千億円なので、国庫負担額は八〇年度の割合ならば九兆四千億円となるところですが、実際は七兆七千億円で、一兆七千億円の削減となっています。
この中で患者負担は急増しました。九〇年から九九年までの十年間に、老人医療費の患者負担は一万九千九百円から六万九百円に、三・一倍です。組合健保では一・九倍、政管健保では一・七倍となっています。
家計も医療費に圧迫されています。政府系調査機関・日本労働研究機構の調査では、九八年の家計最終消費支出中の「医療・保健」の割合が、日本は11・1%にのぼります。イギリス1・2%、ドイツ4・5%、フランス3・7%などと比べても、負担の重さは際立っています。
このような政策は深刻な受診抑制につながっています。病気の早期発見・早期治療を困難にし、医療費の高騰を招き、医療保険財政を悪化させる原因ともなっています。小泉内閣は、サラリーマン本人三割負担など、いっそうの患者負担増で健保財政悪化をのりきる構えですが、かえって深刻になるだけです。
政府は財政難などを国庫負担率を下げる口実にしていますが、問われるべきは、国と地方の全体で、社会保障が公共事業の半分以下といういびつな財政構造です。近年では「不良債権処理」の名による大銀行への税金投入もあります。
いま必要なのは、逆立ちした財政をただし、医療・社会保障を財政の主役にすえ、医療保険への国庫負担割合を計画的に元にもどすことです。
(水)
〔2002・4・20(土)〕