日本共産党

2002年4月25日(木)「しんぶん赤旗」

サービス残業解消通達 一年たったが…


 〈問い〉 厚生労働省がサービス残業解消の通達を出してから一年たったそうですが、職場の状況はどうなっていますか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 時間外労働などに割増賃金を支払わないサービス残業の根絶に向け、厚生労働省が二〇〇一年四月六日に通達をだしてから一年です。しかし、全国の労働基準監督署の昨年十―十一月の監督指導結果でも、二千五百八十九事業所のうち、29・0%にあたる約七百五十事業所がサービス残業をさせています。政府はサービス残業を一掃するまで、さらに指導を強める責任があります。

 厚労省通達は、労働時間管理は企業の責任と明確にし、始業・終業時刻の確認は使用者の現認かタイムカードなどを原則としました。サービス残業の温床、「自己申告制」にもふみこみ、▽適正に申告しても不利益を受けないなど十分な説明をする▽申告が実労働時間と合っているか実態調査する▽残業時間の申告に上限を設けるなどの、適正申告をさまたげる措置はとらない▽労働時間の記録を三年間保存する―と定めています。

 この間、通達の徹底をもとめて職場からの告発があいつぎ、日本共産党も国会などでたびたび追及して、行政を動かしてきました。その中で労基署がトヨタ自動車、日立製作所、三菱電機などの大企業にも立ち入り調査し改善を指導するなど、重要な変化が生まれています。

 同時に多くの職場では、労基署の摘発後、わずかな手直しだけで再びサービス残業野放しに逆戻りしています。企業が責任を果たすよう、系統的な調査と厳正な対処が必要です。リストラ競争で残業時間の適正申告が不利益となる風潮を正し、自己申告制の実態にメスを入れ、違法なサービス残業が前提の要員計画もやめさせるべきです。

 また現行法では、サービス残業がかえって高くつく仕組みがなく、発覚しても割増賃金を払えば済むとする企業が絶えません。割増賃金のほか制裁金も課す「サービス残業根絶法」制定が求められます。

)〔2002・4・25(木)〕


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