日本共産党

2002年7月20日(土)「しんぶん赤旗」

「最低賃金」がこんなに低いわけは?


 〈問い〉 この間、最低賃金というものがあると知りましたが、どうしてこんなに低いのですか。

 (神奈川・一読者)

 〈答え〉 最低賃金とは国が定めた賃金の最低額で、使用者はその額以上の支払い義務を負います。日本は全国一律の最低賃金制がなく、都道府県ごとの地域別最低賃金と、いくつかの産業・業種に適用する産業別最低賃金の二本立てです。

 最低賃金はほんらい賃金の下支えとなるべきですが、一般労働者の平均賃金の五〜六割が保障される欧米に比べ、日本では三割程度と、逆に低賃金を押しつけています。昨年度Aランクの東京でも、時間額七百八円、日額五千五百九十七円にすぎず、しかも今年度から地域別は時間額だけになります。最近は生活保護の対象となる収入より低い地域も出ています。また、地域間、業種間でも大きな格差があります。日本の最低賃金制度が、自立した生活ができる賃金を保障するものになっていないことが背景にあります。

 たとえば最低賃金法の第三条は、最低賃金の決定に、「労働者の生計費」のほか「通常の事業の賃金支払い能力」などを考慮するとしています。財界らは中小企業の支払い能力を理由として最低賃金の低額据え置きを主張し、下請けいじめの結果である中小零細企業の低賃金の固定化へ誘導しています。

 現状は、憲法二五条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」や、労働基準法の「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たす」労働条件からもかけ離れています。どこでもだれでも働けば自立して生活できる賃金を保障する全国一律の最低賃金を土台に、産業別、地域別最低賃金を定める制度が求められます。

 一千万人を超えた、パートなど不安定雇用の賃金底上げのためにも、最賃引き上げは切実な課題です。労働者、使用者、公益(行政)代表で構成される、中央や都道府県の最低賃金審議会に要求を集中するなどのとりくみが重要です。

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 〔2002・7・20(土)〕

 


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