2002年5月16日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 昨年度は過去最悪の5・2%だったと四月に発表があった、完全失業率とはどんな数値ですか。(東京・一読者)
〈答え〉 日本で失業を表す数値として広く使われているのが、総務省が毎月の月末に発表している労働力調査の「完全失業率」です。同省は四月二十六日に、三月の速報値をふまえ、二〇〇一年度の完全失業率は5・2%だったと発表しました。これは毎月の労働力調査をもとに一年間の平均を出したものです。二〇〇〇年度の4・7%から0・5ポイント悪化し過去最悪となりました。
この総務省の完全失業率は、「労働力人口」(就業者と完全失業者の合計)に占める「完全失業者」の割合をパーセントであらわしたものです。
同省の「完全失業者」とは▽月末の一週間に一時間以上仕事をしておらず▽その一週間に求職活動をしており▽仕事があればすぐに就ける状態にある―などの条件をみたす人をさします。その週に一時間でも臨時の仕事があったり、病気などでその週に求職や就労ができなかった人は「完全失業者」に含まれないことになります。各国で「失業者」の定義はさまざまですが、日本の定義はもっとも厳しいものです。
また「労働力」には自衛隊員なども入っていますが、例えば軍人を統計にいれないアメリカなどよりも母数が大きくなります。
このように、「完全失業者」の定義が厳しく、母数が大きくとられているなどから、「完全失業率」は各国政府統計よりも小さめで、実態よりずっと小さくなると指摘されています。
政府統計の中でより実態に近い数値は、年二回発表している「労働力特別調査」から知ることができます。ここでは、非労働力人口の中に入っている「就業希望者」の数が分かります。さまざまな理由で就労をあきらめた人たちで、いま五百万人を超えています。この多くも失業者とみると、実態は完全失業率の二倍以上です。(清)
〔2002・5・16(木)〕
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