2002年1月24日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 阪神・淡路大震災から七年たちましたが、昨年、国連が被災者救済で日本政府に出した勧告とはどんなものですか。(山梨・一読者)
〈答え〉 阪神・淡路大震災の被災者支援策についての勧告は、二〇〇一年八月、国連の社会権規約委員会が、日本政府の規約実施状況の報告を審査し採択した「最終見解」の中で出されました。
「見解」は、懸念される問題として(1)多くの独居高齢者が、ほとんど注意を払われず、慣れない環境で起居している(2)家族を失った人々への精神医学的治療がほとんどされていないようだ(3)多くの再定住した高齢被災者には地域センターがなく、保健所・外来看護施設へのアクセスを持たない(4)貧しい被災者は住宅再建資金の調達がますます困難になり、ローンのために財産売却を余儀なくされる事例がでている―などをあげました。
そして日本政府に、「兵庫県に対し、とりわけ高齢者及び障害者への地域サービスの向上・拡大を勧奨すること」や、貧しい被災者が住宅ローンのため財産を売却するのを防ぐために「住宅を再建するために公的住宅基金あるいは銀行ローン債務の支払いを支援するため」「効果的な措置を迅速にとること」を勧告しています。
これにたいし日本政府は「住宅対策も被災者への精神的ケアも十分手厚い措置をしてきた」「事実について誤認がある」(〇一年十一月八日、村井防災担当相)と勧告を拒否しています。兵庫県や神戸市も同様です。
しかし被災者の孤独死や自殺が絶えない現状などは国会審議で政府も認めました。住宅と生活の再建には、被災者生活再建支援法と同等の措置とされる阪神・淡路大震災被災者への「自立支援金」(被災者の二割に上限百五十万円支給)では不十分です。国連勧告はこの現実の指摘です。日本共産党は住宅再建・生活再建それぞれ上限五百万円の支援金などの法改正案を〇一年に発表しました。政府は被災者が本当に立ち直れる施策にとりくむべきです。(水)
〔2002・1・24(木)〕
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