2003年2月22日(土)「しんぶん赤旗」
民間施設の閉鎖があいついでいます。 写真は閉鎖が決まった近鉄劇場 |
「大阪の演劇拠点『OMS』閉館――出会いの場惜しむ声」(「日経」一月十九日付)。大阪の民間小劇場が相次いで閉鎖され、演劇活動に大きな影響を与える問題については、本紙でも昨年十一月連載しました。北海道でもマリアテアトロが二〇〇〇年に閉鎖され、小劇場がほとんどない状況です。
民間の文化施設が閉鎖される問題は、演劇だけに限りません。映画をめぐっては、シネマ・コンプレックス(シネコン)とよばれる複合施設が増えているため、日本全体のスクリーン数は増えていますが、地方の映画館は相次いで閉鎖されています。たとえば、東映系だけでもこの二年間で二十館が閉鎖されました。
この結果、地方では、とくに日本映画をみることができなくなっているのが実態です。シネコンの増加で、“売れ筋”の洋画公開率はあがってきている一方で、岐阜市の調査でも日本映画の公開率は32%にすぎません。人口四十万をこえる県庁所在地でも、日本で作られた映画の三分の一しか上映されないのです。
こうした民間施設には、ほとんど公的支援がなされていません。それどころか固定資産税や所得税などはほかの商業施設と同様にとられ、収益の大半を税金でもっていかれます。結局、市場まかせとされ、それに長引く不況の追い打ちです。
公設文化施設でも、事態は同様です。なかには、一定の予算措置をとり自主企画を充実させている大型劇場や、企画運営をNPOなどに任せ、活発な企画を組んでいる例も生まれてきています。
しかし、全体としては、自治体による施設の維持・管理費の削減が続き、職員の削減や自主公演の取りやめなどがおきています。これでは、せっかくつくった文化施設が活用されなくなってしまいます。大阪府阪南市では、市長が文化施設「サラダホール」の照明機器などを改修しないことを表明し、自主事業を中止するとしました。
その後、地元の鑑賞団体や全国の俳優などの強い反対で、市長も来年度予算で改修費をもりこむことを約束しました。こうした文化施設は、住民にとってもっとも身近な創造・鑑賞の場となっています。そうした条件を保障する地方自治体の責務が問われています。
(つづく)