日本共産党

2006年2月21日(水)「しんぶん赤旗」

共産党員町長誕生の長野・御代田

同和行政・高い公共料金に不満

「この人でなければ」住民から ふつふつ


 「こんな選挙したの初めてだ」―。十八日投開票の長野県御代田(みよた)町長選で、日本共産党の前町議、茂木祐司(もてき・ゆうじ)氏(50)が、現職の土屋清氏(63)に千百票の大差をつけ、初当選し、支持者たちは喜びをはじけさせました。二月五日の立候補表明からわずか二週間。御代田で何が起きたのか―。(長野県・倉橋重松)

 「茂木さんの十二年間の議会活動の凝縮と、『町を変えたい』という町民のうねりが選挙結果に表れた」。こう話すのは、元町助役の市川誠さん(73)です。

「堂々」「毅然」

 町民は、茂木さんを、「堂々と」「はっきりと」「毅然(きぜん)と」という言葉で表現します。

 茂木さんの存在感を示すのが、「町の上に『解同』(部落解放同盟)がある」(町民)といわれるゆがんだ同和行政をひるまず追及する姿勢です。同和行政をただすかどうかは選挙の大きな争点でした。

 町予算のうち不公正な同和事業に年四千万円も。「解同」に補助金六百万円を支出し、「解同」役員による「国際研修」という名の「海外旅行」に、十三年間で千百万円も補助しました。同和対策として奨学金や下水道工事補助があり、どちらも返済の必要がありません。住宅貸付金の滞納額は一億円にもなります。年間六千万円の、ごみ処理業務も特定の業者が独占しています。

 同和対策の町職員が長期休暇や退職に追いこまれ、昨年十月には、担当課長が自殺する事件が起きました。このとき、議会で敢然と追及したのが茂木さんでした。元助役の市川さんは「課長の名誉を回復してあげたい思いで」、茂木陣営の選対責任者になりました。

 同和問題以外にも、住民の不満が爆発しました。国保税が県内市町村で最も高いうえ、滞納世帯への資格証明書の発行が百五世帯と県内最多です。介護保険料も県下二番目の高さ。下水道、保育料も引き上げられました。

 転入者の多い同町ですが、「何でこの町は、こんなに公共料金が高いんだ」と、不満の声が渦巻いていました。

 また、学校給食を共同センター方式に、十分な説明もないまま決定したことも大きな問題です。

 茂木さんと「九条の会」や環境問題で一緒に活動する男性(79)は、当選の報を聞き、興奮気味に語ります。「町の山積する課題を解決するには、『茂木さんでなければだめなんだ』という声が、ふつふつとわいて、茂木立候補への流れとなった。私も『あんたが立たなきゃ縁を切る』と決意を促した」

「山が動いた」

 「山が動いたというのはこういうことなのね」と、女性(64)は選挙を振り返ります。

 女性は「自然がいいから」と東京から移り住みました。ところが数年前、浅間山の水源地に小諸市、軽井沢町と共同ですすめるごみ焼却場建設が持ち上がりました。反対運動をしましたが、「土屋町長は全く聞く耳をもちませんでした」。前回のように無投票になったら「焼却場を認めたことになる」と、やきもきしました。「誰か対抗馬が立たないかしら」と思っていたところ、環境問題の講演会で知り合った茂木さんが名乗りをあげたのです。女性も必死で運動しました。

 党派を問わず「町を変えたい」という何百人という町民が、茂木支持で動きました。

 女性は語ります。「これからが本番です。町長だけの力で町は変わりません。住民が力を合わせて行政をよくしましょうよ」


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