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日本共産党の筆坂秀世政策委員長が十四日発表した「腐敗流用の全ぼうの解明を―『機密費』問題についての日本共産党の見解」の全文は次のとおりです。
一、「機密費」流用事件で松尾外務省元要人外国訪問支援室長が逮捕されたが、この間の国会での追及を通じて、この事件がたんに松尾容疑者個人の犯罪でかたづけられる問題ではなく、外務省はもとより、内閣官房という政府の中枢機構が組織ぐるみ関与している国政上の重大問題であることが浮き彫りになっている。
この問題の本質は、国民の税金が「機密費」の名にかくれて、国会議員の海外旅行のさいの「せんべつ」や野党工作など国会対策、選挙費用にまで流用され、政府が表向きの理由にしている「国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行する」こととはおよそ無縁の、腐敗政治の財源として使用されていることにある。
わが党の志位委員長が国会で明らかにした「報償費について」と題する内閣官房文書は、そのことをしめす動かぬ証拠である。そこには、八八年〜八九年に消費税導入が問題になったとき、あわせて十億円もの巨費が「国会対策」費として計上され、使われてきたこと、外務省機密費が、毎年十数億円も内閣官房に「上納」されるなど、財政法違反が常態化していたことを生々しくしめしている。
日本共産党が、この文書が古川現内閣官房副長官(当時=内閣官房首席参事官)によって書かれたものであることを証明する「筆跡鑑定書」をしめして調査を要求しても、政府がかたくなに応じようとしないのは、この醜い実態が明るみにでて、腐敗政治の根底がゆらぐからである。
政府がおこなう活動に、一定の条件のもとに秘匿を要する活動や、そのための費用が必要となることはありうる。しかし、いまおこっている「機密費」問題は、そのようなものとはまったく性質を異にするものである。いまなによりも先んじておこなわれるべきは、「機密費」をめぐる実態の全容を徹底的に究明することである。
これら腐敗流用の全貌(ぜんぼう)の解明をぬきにしては、「機密費」の予算上の取り扱いについても、適正な基準を設定することはできないはずである。
一、「機密費」のかなりの部分が、議員・大臣へのせんべつ、国会対策費など、わが党をのぞく野党対策に使われてきたとされていることは、国政を浄化するうえで、野党としてとくに重視すべき問題である。自民党中心の政権の時期だけでなく、細川内閣、村山内閣など、現在の野党が政権に加わってきた時期にも、同じように使われてきたことが、当事者の口から明らかにされている。
野党は、現在、「機密費」疑惑の究明を共通の課題としてたたかっているが、自分たちがかかわってきた過去の問題についても、国民の前で率直に真実を明らかにし、悪(あ)しき遺産をきっぱり清算する態度をとってこそ、密室政治を大もとから打破する立場を鮮明にできるし、国民の信頼を広げることもできる。わが党は、この問題での野党のたたかいをより強いものとするためにも、各党の真剣な取り組みを希望するものである。
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