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全国各地で言語道断の警察による腐敗事件、不祥事が相次ぎ、国民の警察への不信は頂点に達しています。この警察を民主的に管理すべき国家公安委員会が、その機能をまったく果たしていないことも、国民の怒りに拍車をかけています。
国家公安委員会は、警察の独善化を防止し、民主的に管理することにこそ、本来の役割があり、警察のいいなりになってはならないというのが大原則です。
ところが、新潟県警をめぐる一連の不祥事でも、国家公安委員会や国家公安委員長がおこなったことは、警察庁いいなり・おまかせの対応だけであり、警察に「管理」されてきたというのが実態です。これでは、警察の不正・腐敗の「隠れみの」にすぎません。
日本共産党は、国家公安委員会が警察のいいなりにならず、警察から独立して、その役割を果たすよう、次の改革案を緊急に提案するものです。
いまの国家公安委員会は、国家公安委員の人選にあたっても警察庁がリストを作成し、それを内閣総理大臣が追認して任命する、事務は警察庁が担当するなど、徹頭徹尾、警察庁主導で取り仕切られています。
警察法第五条(1)は、国家公安委員会の役割として、「国の公安に係る警察運営をつかさどる」とともに、警察行政、警察制度の企画・調査、警察予算や警察の監察などについて、「警察庁を管理する」ことを明記しています。国家公安委員会は、警察のあり方について重大な責任を負っているのです。ところが、実態はまったく形がい化しています。国家公安委員会の警察からの独立性を強化し、警察を民主的に管理できる体制を確立するための改革が急務となっています。都道府県公安委員会も、同様の改革をおこなうべきは当然です。
現行制度では、国家公安委員は「内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する」(第七条(1))とされています。しかし実態は、警察庁が推薦する人物を審議もないまま、国会が「同意」するというもので、「国会同意」が形だけのものになっています。この実態をあらため、内閣総理大臣が推薦する委員予定者の関係委員会への出席をもとめ、質疑応答する「指名聴聞会」を開催し、適否を判断できるようにします。
いま国家公安委員会のもとに専門の事務局がなく、すべての事務は警察庁が担当しており、これが警察庁いいなり・おまかせのおおもとの一つになっています。これをあらためて独自の事務局をもうけるべきです。事務局は実務とともに、警察行政にかかわる諸問題、予算配分などについて必要な調査・検討をおこなうようにします。
建前のうえでは、国家公安委員は常勤あつかいになっています。だからこそ年間二千六百万円を超える高額の報酬が約束されているのです。ところが実態は、週に一回の会議に参加するなど形だけです。それどころか、新潟県警の不祥事をめぐる処分問題では、会議さえ開かず、「持ち回り決裁」という違法な”カラ会議”までおこなっていました。
これをあらため、五人の委員すべてを常勤にし、職務に専念させるべきです。
警察の一連の不祥事件のおおもとには、警察にはびこる独善性や秘密主義、不正・腐敗をおおい隠す隠ぺい体質があります。警察庁がおこなうなれあいの内部監察では、それを摘発できないのは当然であり、警察庁から分離・独立した監察制度を創設します。
国家公安委員会の直属機関として、警察から独立した監察委員会(仮称)をもうけ、警察庁と警視庁、道府県警察本部、および警視正以上の幹部職員、重要案件についての監察をおこなうようにします。
監察委員長をふくむすべての監察委員は、警察官以外から起用します。監察委員の過半は、法曹資格を有するものとし、監察委員および委員を補佐する職員についても、警察庁との人事交流を禁止します。
監察委員会の内部に、警察および警察官に関する国民からの直接の声を聞く窓口をもうけ、国民から寄せられた要望に敏速に対応するとともに、その結果を定期的に国家公安委員会に報告するようにします。
いま国家公安委員は、国会への出席義務がありません。国家公安委員会は、「市民の声を反映させ市民によってコントロールするための仕組み」(九六年五月二十二日参議院本会議・橋本首相)であり、国民を代表する国会による監視の強化や国民への情報公開がもとめられます。
国家公安委員会が警察の独善防止や民主的管理のために、どういう活動をおこなってきたかなど、必要な事項について、毎年、国会にたいする報告を義務づけるようにします。また、国家公安委員は国会のもとめがあれば国会に出席し、質問に答え、意見をのべることができるようにします。
日本共産党はすでに、国会に行政監視院(オンブズパーソン)法案を提出しています。この法案にもとづく監視にも、当然、警察行政全般がふくまれます。
警察情報に関しては、捜査情報や個人情報など秘匿すべき情報もありますが、それを理由に、警察行政の実態や警察官の腐敗・不正など公開すべき情報まで秘密あつかいすることは許されません。警察行政に関する情報を積極的に公開させます。
キャリア制度の弊害は、警察だけではなく、他の省庁でも指摘されてきました。とりわけ警察では、いわゆる「キャリア官僚」が特権的な地位を悪用して、腐敗や不祥事をくりかえしてきました。このキャリア制度を見直し、特権的なあつかいをあらためるなど、公正な人事政策の確立をめざします。
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