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高齢者、障害者等が「社会参加」をしていくうえで、移動の自由と安全を確保することは不可欠であり、基本的権利です。ところが、長年の自民党政府による大企業本位の街づくりの歪みがふきでている状況のもとで、交通バリアフリ−化の整備は極めて不十分なものです。
こうしたなか、今国会に、ようやく「交通バリアフリー法」が提出されました。これは障害者団体や高齢者団体などの粘り強い運動の成果です。わが党も六年前から法制定を図るべきと政府に提案をしてきた経緯もあり、法案が策定されたことは、前進と評価できます。
しかし、政府案には、多くの改善すべき点があります。
一つは、「移動の自由と安全確保」が基本的権利であり、社会参加の絶対条件であるにもかかわらず、目的・理念のなかに、このことが明記されていません。また、対象範囲も「身体障害者等」と限定しており、すべての障害者が法案の対象になっていないことも大きな問題です。
二つは、バリアフリー化の適合基準が新設の施設等に限定されており、既存施設等は事業者まかせの単なる努力義務となっています。バリアフリー化の成否は既存施設の整備にかかっており、これでは実効性を担保することにはなりません。また、整備の実施計画目標も「乗降客五千人以上の施設」だけを対象にしており、五千人以下の施設は計画さえ持たないことになっています。しかも、整備内容もエレベーター、エスカレーターの設置を中心とするもので、極めて限られたものとなっています。
三つは、公共交通事業者の果たすべき責務が極めて不十分です。また、国、地方公共団体の役割も曖昧です。特に、住み慣れた地域で障害者等が参加したまちづくりを進めていくうえで、地方自治体の計画作成が極めて重要です。しかし、政府案では、この視点が抜けています。
四つは、この法律の重大な弱点として、国の基本方針、各種計画、整備基準等の決定に当たって、障害者等利用者の意見が十分反映できる制度が、まったく位置づけられてません。
こうした主要な問題点の解決の為、日本共産党は以下の柱とした修正案を提出します。(1)目的・理念を「移動の自由と安全は基本的権利」と明記します。(2)国の「基本方針」で、すべての施設等を対象に整備計画と目標を明確にします。(3)地方公共団体もバリアフリー化対策の計画を策定することにします。(4)交通事業者が講ずべき責務を明確にします。(5)利用者、障害者等の積極的参加を保障するための制度化を図ります。(6)バリアフリー化されても移動困難な人のため代替輸送の確保を図ります。
政府案の目的、定義は「高齢者、身体障害者等の移動に係る身体の負担を軽減することにより、移動の利便性及び安全性を向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資する」と、目的、理念の位置づけが希薄である。
政府案の基本方針は、バリアフリー化の整備計画、整備対象が限定的であり、目標も曖昧である。
政府案は「市町村は重点整備地区について、基本構想を作成することができる」としているだけである。
鉄道における旅客利用の九八%をJR、大手私鉄、地下鉄が担っている。この法律が実効性をもつかは、すべてこれら大手事業者にかかっている。
政府案では、障害者等利用者の意見を反映させる規定がない。「基本方針」「整備基準」や各種の「計画策定」「計画変更」「情報の提供」等にあたっては、障害者等利用者の意見が十分反映できるようにする。障害者等利用者が参加した「協議会」(仮称)を設置する。
−STS(スペシャル・トランスポ−ト・サ−ビス)−
バリアフリ−化が進められても、それでも移動困難な人がいる。欧米では、そのための代替輸送が制度として実施されているが、政府案では位置づけられてない。
日本でも国に先駆けて、自治体や事業者、ボランテイア団体等で一部実施されており、国としても、その制度化を図る。
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