「金融商品販売法案」に対する日本共産党修正案について

2000年4月26日 日本共産党国会議員団


1、修正案を提出する理由と基本的な考え方

バブル期以降の金融商品をめぐる消費者被害の続発と金融ビッグバンの進行は、金融分野での消費者保護法制度の整備を強く求めています。バブル期には、融資一体型変額保険などのリスクの高い商品が十分な説明もないままに広く販売され、消費者被害を引き起こしました。その十分な救済もないままに、金融ビッグバンのもとで複雑な新しい金融商品が続々と登場しています。

 金融商品の販売のなかで、販売業者と消費者は「プロとアマ」の関係におかれています。金融商品の理解には高度な専門知識が必要ですが、消費者は商品情報について量・質ともに一方的に不利な立場におかれています。そのような取引実態のもとで消費者保護をはかるには、業者の勧誘・販売行為に厳格な遵守義務を課すことなどが不可欠です。

 このたび政府から金融商品販売法案として、販売業者の説明義務を明示し、違反した場合は損害賠償責任を課すとの法律案が提出されました。しかしその内容は、〃業者が責任を問われずに効率的に取引を行なうにはどうしたらいいか〃という観点から、説明義務の範囲を限定的に規定し、不適切勧誘の禁止を業者の自主規制に任せるなど、消費者保護法としての実効性に欠けたものになっています。これでは、これまでの金融被害の教訓に応えないばかりか、かちとられてきた判例の水準を引き下げるおそれもあり、金融ビッグバンが進行するもとで消費者を保護することはできません。

 そこで日本共産党は、金融商品販売法案を実効性あるものとするために、以下の内容を柱とする修正案を提出しました。日本共産党は、現時点での最低限の要求として本修正案の実現をめざすとともに、金融分野での消費者保護策の確立のために、金融サービス法や統一的消費者信用保護法、裁判外紛争処理制度等のすみやかな整備を求めていくものです。

2、修正案の内容について

○修正案の四つポイント

  1. 金融販売業者に求める説明義務の内容を強化し、商品の特性・内容についての説明や書面交付義務などを設ける。
  2. 政府案が業界の自主ルールとしている適合性原則や不招請勧誘の禁止を法律で定め、これらに反した場合には損害賠償責任を課す。
  3. 不実告知や断定的判断の提供などの詐欺的勧誘に対して、契約の取消をできることとする。
  4. 損害賠償請求裁判における立証責任を全面的に業者に負わせる。

○修正案の主な内容

◇金融販売業者に忠実公正義務を課す

◇説明義務の対象を拡大し実効性を確保するために以下の規定を設ける

 (※政府案は、元本割れリスクがあること等を説明義務の対象としているだけである。)

◇不適切勧誘を禁止する規定を設けるとともに、詐欺的勧誘に対し契約取消権を認める

 (※適合性原則とは、その顧客の知識・経験、財産力、投資意向等に適合した勧誘・販売を行なうことを業者に求めるものである。)
 (※政府案は、不適切勧誘の内容について業界の自主ルールにまかせており、ルールを定めなかった業者に罰金を科すこととしているのみである。)
 (※政府は詐欺的勧誘には消費者契約法で対応すると説明しているが、専門的知識を要する金融商品の特性をふまえ、本法案に詐欺的勧誘を禁止する厳格な規定をおく。)

◇説明義務違反、適合性原則違反・不招請勧誘に損害賠償責任を課す

 (※政府案も説明義務違反への損害賠償責任を規定しているが、前提となる説明義務を限定的に規定している。修正案は、説明義務を拡充し、さらに適合性原則の遵守・不招請勧誘の禁止を法的事項としており、それらの違反に損害賠償責任をともなわせる。)

◇裁判での立証責任を全面的に転換し、リスク説明の有無を立証する責任を業者側に課す

◇その他、実効性確保のための所要の規定を整備する

政府は、本法律の施行日までに顧客保護のあり方について必要な検討を加え、クーリング・オフ制度の導入や裁判外紛争処理制度の確立などの措置を講ずるものとする。


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