国の責任で被災者の生活再建最優先の支援を

日本共産党のくらし復興支援立法提案の発表にあたって

2001年1月16日 日本共産党


 昨年一年間だけをみても、有珠山噴火、三宅島の噴火や近海での地震、東海豪雨、鳥取県西部を震源とした地震などによる災害が相次いでいます。個人補償と公的支援を求める粘り強い被災者と国民世論に押されて、九八年五月に成立した「被災者生活再建支援法」は、その当初から被災世帯を住宅が全壊等した世帯に限定したうえ、世帯収入や世帯主年齢などの要件を厳しく設定し、あまりに低い支給額に加え使途制限が実情にあわないなどの問題をかかえていましたが、これら自然災害の実際をとおして、「被災者生活再建支援法」の不十分さと限界がいよいよ明らかになってきました。

 同法で検討課題とされた住宅再建への支援策については、国土庁に設置された検討委員会の報告書でも、個人の住宅再建が公共性を有していることを明記しているように、住宅再建が個人の力や現在の支援策のみでは対応できないことを事実として認めています。鳥取県西部を震源とする地震災害でも、鳥取県は「住宅支援に手をつけなければ、道路やがけを直しても人が住まなくなる」として、住宅再建に、所得制限なしで最高三百万円の支援金を一律に支給するなどの支援策をまとめました。このように、いまあらためて国の支援策のあり方が問われています。

 日本共産党は、阪神・淡路大震災直後の九五年二月十日におこなった復興対策の提言で、被災者への個人補償をいち早く提起し、九六年十一月には、生活再建と住宅再建を合わせて限度一千万円の支援金支給などを柱とする「生活再建支援法案大綱」を発表し、これをたたき台として市民団体などと手をたずさえて超党派の立法運動をすすめてきました。被災者の生活基盤回復にとって、「被災者生活再建支援法」を実態にあったものに拡充することはまったなしとなっており、あらためて国の責任と役割を明確にした「くらし復興支援立法案(「被災者生活再建支援法」一部改正案)大綱」を提案するものです。

 この案では、国の責任で、被災者の最低限の生活基盤回復をおこない、すべての被災者の自立(再建)を支援することを目的としています。そのため、(1)当面の生活の維持への支援とともに、住まいの再建を支援対象とし、あわせて一千万円(上限)を支給する(2)生活の基盤をなす中小業者の事業等の再建も支援対象とする(3)有珠山や三宅島噴火災害のような長期の避難生活という事態にも、即座に支援金が支給できるようにする(4)被災者の自立にとって大きな障害となっている既存ローンの負担を軽減する(5)従来の支援策を見直すきっかけとなり、現に支援が求められている阪神・淡路大震災被災者をはじめ、この間に発生した災害被災者に対しても支援措置を講じる――ことを柱としています。

 日本共産党は、私たちの国を、被災者が安心してくらしの復興にとりくめる社会にするため、この提案をひとつのたたき台として、国民的議論と共同を広げていくことを心から呼びかけます。


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