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歴史教科書問題について
市田書記局長が談話
2001年4月 3日
一、文部科学大臣は、「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書を検定合格としました。
報道によれば、この教科書は太平洋戦争を「大東亜戦争」とよび、検定後も「日本軍が連合国軍を打ち破ったことは……欧米の植民地支配のもとにいたアジアの人々を勇気づけた」「日本軍の南方進出は……アジア諸国が独立を早める一つのきっかけともなった」と記述するなど、アジア侵略への無反省と美化の立場を変えていません。また、南京虐殺を「さまざまな見解があり、論争が続いている」とするなど侵略と加害の事実に目をつぶる姿勢も露骨です。教育勅語については、その全文を掲載し、「近代日本人の人格の背骨をなすもの」と解説しています。教育勅語が現憲法の精神に反することは、森首相も認めざるをえなかったものであり、この説明は憲法と相いれないものです。
一、現憲法にもとづく日本の教育は、日本の引き起こした戦争が誤りだったという認識とそれへの根本的反省、批判のうえに成り立っています。日本政府も、八二年のいわゆる「進出・侵略」問題に端を発した国際的批判にたいし、教科書の検定にあたっては、侵略戦争がアジアの諸国民に多大の苦痛と損害を与えたことの自覚とそれへの反省を重視することを、国内外に正式に表明してきました。
「つくる会」の教科書は、これまで日本政府が表明してきたこれらの国際的な公約に反することは明白です。歴史をゆがめ、戦前の教育勅語を美化するたくらみを、公教育に持ち込むことは絶対に許されません。
一、今回の教科書検定をめぐって、韓国や中国はじめアジアの人々から強い批判と危惧(きぐ)が表明されてきました。日本政府が、こうした批判にまともにこたえず、侵略戦争と植民地支配を美化する教科書を検定合格としたことは、アジアの人々との友好関係を深く傷つけるものとなりました。いま、東アジアでは、南北朝鮮の対話など平和の流れが確かなものになりつつあります。文部科学省の今回の措置は、この流れに逆行するものであり、厳しく批判されなければなりません。
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