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介護保険のお年寄りからの保険料徴収が、いよいよ十月から始まろうとしています。保険料徴収通知が届けられたとたん、自治体の電話は鳴りっぱなしとなり、一日千件をこえる苦情が寄せられているところもあります。「収入がないのにどうやって保険料を払えというのか」「本人の承諾なしで年金から天引きすることなど許せない」といった声が殺到しており、まさに列島騒然といった状況です。
介護保険制度が始まっていらい、さまざまな矛盾が噴出していますが、とりわけ深刻な問題は、利用料が重いため必要なサービスが受けられないお年寄りが続出していることです。「介護保険ができたために、今までの介護が受けられない」という実態がひろがっている現実を、直視することが重要です。
そのうえ、お年寄りの保険料徴収が始まれば、たとえ当面一年間は半額の保険料であっても、低所得者には二重の打撃となることは明白です。必要なサービスをさらに縮小せざるをえなくなることは、火をみるより明らかです。
わが党は、介護保険法の制定いらい、数度にわたって改善要求をおこなってきました。しかし、政府・与党が根本的な制度改善を怠り、矛盾を先おくりにしたため、今日の事態を迎えるにいたったことは明瞭です。高齢者からの保険料徴収開始を前に、日本共産党は、あらためて以下の最小限の措置をとるよう、政府に申し入れるものです。
保険料は、住民税非課税の高齢者・低所得者から徴収しない措置を緊急にとること。
利用料は、住民税非課税のお年寄りまで、在宅介護の利用料を無料にすること。当面の最小限の措置として、政府の「特別対策」である訪問介護利用料の三%への軽減措置を、新規のサービス利用者もふくめて、訪問看護、通所介護(デイケア)、訪問入浴などすべての在宅サービスに拡大すること。
なお、自治体独自の保険料軽減措置等に対して、国は介入しないこと。
介護サービスの不足は依然として深刻な状況にあります。十万人をこえる特養ホームの待機者も解決されていません。サービス提供を営利企業にゆだねるという政府の政策も、地方都市では民間事業者が相次いで撤退するなど、そのゆきづまりが明白です。
政府の責任で介護基盤の整備に全力をつくすとともに、サービスの提供にあたっては、自治体がみずから事業者になるなど、その責任を明確にする指導を徹底すること。
最小限の制度改善もないまま、高齢者から保険料をとりたてれば、矛盾の爆発は避けられません。十月からの保険料徴収を延期し、以上の最小限の見直しを先行させるよう要求します。
なお、この他にも次の項目について、早急に改善することを要求します。
要介護認定の一次判定コンピューターソフトは、痴呆症状の実態を反映しないなど、問題点がうきぼりになっています。政府も、問題点を認めているわけですから、三年後を待つのではなく、ただちに改善するよう要求します。
介護保険の導入で、ホームヘルパーや特養ホーム職員の労働条件の悪化がすすんでいます。早急に、政府の責任で調査し、改善策をこうじることを要求します。
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