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2001年1月26日
日本共産党国会議員団ホームレス問題プロジェクトチームが1月26日、厚生労働省におこなった申し入れの全文は次の通りです。
ホームレス(野宿生活者)は、長期不況のもとで急増し、いまや全国で三万人を超えるといわれています。厳冬期をむかえ、食事も満足にとることができず、野宿による体調の悪化、体力の低下と衰弱から、凍死者さえ生まれるなど、悲惨な状況のもとに置かれています。このような状態は、憲法二五条の生存権が侵害されていると言わざるをえません。ボランティアによる炊き出しなど、必死の援助がおこなわれていますが、ホームレスのひろがりのなかで、事態はますます深刻になっており、人道上、一刻も放置できない現状にあります。
日本共産党は、国と自治体が早急に現状を把握するとともに、生命と健康を守り、最低限度の生活を保障し、さらに働ける人には仕事を確保するなど、ホームレスをとりまく現状の改善のために、以下の施策を緊急におこなうよう求めるものです。
ホームレスに対しては、人間らしい、一定のプライバシーも守れる、一息つける住居を確保することが最優先の課題です。そのために、簡易宿泊所の空き部屋の借り上げや公営住宅の空き部屋の活用、さらに地域住民の理解と協力、ホームレスの同意をえて、シェルター(緊急避難施設)の建設を急ぐことです。
ホームレスがやむにやまれず、生活保護を申請しても、行政は「住所不定」を理由に、事実上、生活保護の適用を拒否しています。一方で、住居も保障しないというのでは、ホームレスの窮状はいつまでたっても解決しないことになります。
「住所不定」を理由に、生活保護の適用を一律に拒否することは、現行の生活保護法の運用基準からも逸脱したものです。国は、ホームレスの窮迫する事態にあっては、生活保護法の積極的な適用を促すよう、地方自治体に徹底、指導することを求めます。
また、「稼働年齢」を理由に、事実上六十五歳未満のホームレスを生活保護の適用から排除していることも、現行法の運用基準から逸脱したものであり、国はただちに改善の指導をおこなうよう要求します。
高齢に達したにもかかわらず、年金の受給権がない、または低額しか受け取れない人々に生活保護を適用することも、緊急の課題です。
ホームレスの健康管理や医療に公的医療機関が責任をもつことが重要です。とりわけ結核対策は万全の措置を講ずることが求められています。行き倒れ状態で医療機関に搬送され、入院すると生活保護の医療扶助制度が適用されるものの、治療を受けて退院すると、とたんに生活保護が打ち切られ、再び野宿生活に舞い戻るということが繰り返されています。退院するにあたっては、行政の責任で住居を確保し、働けるようになるまで必要なリハビリと、生活保護による所得保障をおこなうよう求めます。
ホームレスの大半は、働く意欲がありながら、仕事に就くことができない労働者です。しかも、土木・建築に従事してきた日雇い労働者が多数を占めており、今日の雇用・失業情勢のもとで、一般求職者でも就職が困難ななか、働きたくても働けないのが現実です。
こうした労働者には、国と自治体の責任で、職業経験にふさわしい都市部での公的な就労事業を臨時的に起こし、生活できる賃金を保障することを求めます。
政府の「ホームレス自立支援事業」は、二〇〇一年度は十一カ所で千二百〜千三百人程度、予算もわずか七億八千万円にすぎません。しかも、六カ月を限度とした「自立支援センター」では、自立の道にはなりえないことは明白です。抜本的な拡充を求めます。
以上の緊急措置をおこなうにあたっては、国が十分な財政措置をとり、自治体の要望にこたえられるようにすることが不可欠です。
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