2001年6月1日「しんぶん赤旗」で発表
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日本の中小企業は、企業数の九九%、勤労者の八割を占めています。「日本経済の主役」である中小企業に、それにふさわしい対策をおこないます。
政府の中小企業予算は、千九百四十八億円(二〇〇一年度)で、一般歳出のわずか〇・四%にすぎません。一九六七年には〇・八八%あったのが、毎年のように減らされ、ここまで少なくなってしまいました。
中小企業の保護・育成について国の責任を明確にするとともに、中小企業予算を抜本的に増額し、予算の内容も、これまでの出資金や利子補給金などの融資偏重から、中小企業の経営基盤を直接支えるものに改革します。
東京・墨田区では、日本共産党の提案をきっかけに、一九七九年に中小企業振興基本条例を制定し、対策を充実させてきました。すべての中小企業が共同利用できる中小企業センターをつくり、担当職員も増やして、経営基盤を支え、事業の発展に役立つ支援をおこない、区内中小企業の大きな支えになっています。そのため、一般会計の二%を中小企業予算(融資を除く)にあてています。国の中小企業予算についても、少なくとも墨田区なみに一般歳出の二%に引き上げるべきです。
国(公団等を含む)の官公需の中小企業向け発注率は、九九年十二月に中小企業の資本金区分が変更され、中小企業の範囲が拡大されたこともあって若干増加していますが、それでも四二・五%にとどまっています(九九年度)。地方自治体も七一%です(九八年度)。これを少なくとも国は五〇%、地方は七五%程度に引き上げるべきです。そうすれば、二兆円近い仕事や物品を中小企業に発注できます。
公共事業の浪費をなくし、教育・医療・福祉などの公共施設や、高齢者向けの住宅改造などにたいする補助を拡大し、中小企業の仕事を増やします。
地域に根ざして事業をおこない、その業種もきわめて多様な中小企業に、画一的でない支援策を講じるため、実態をよくつかみ得る立場にある区市町村の仕事として、法律上も必要な権限をもたせ、それを国が財政面でも保障するようにします。
自治体に「中小企業支援センター」を設置し、設備・技術・経営指導・情報提供・人材育成などによって、中小企業が顧客の要求、社会的ニーズにこたえた製品開発・販路開拓をおこなえるように支援します。
日本の製造業の土台を支えるモノづくりの基盤をまもり、発展させるため、こうした技術をになってきた中小企業が集積する地域への支援を強化します。各分野のすぐれた技能者・職人の認定制度を創設し、人材の確保、技術の継承をはかります。
創業に必要な経営上のノウハウを提供するとともに、事業展開に応じて相談にのる体制を各自治体に設けるなど、創業を積極的に支援します。
中小企業の事業承継については、事業の存続が可能となるよう、土地、建物、設備などにかかる相続税について、通常の評価額とは別の評価をおこない、通常の評価額による税額との差額は猶予し、十年以上事業を継続した場合は差額を免除することとします。
法人税は、アメリカでおこなわれているように累進制を導入し、中小企業の最低税率を引き下げます。自営業者本人や家族の労働に見合った勤労控除(自家労賃)を認めます。第二消費税となる法人事業税への外形標準課税の導入には反対します。
日本は主要国で「納税者の権利憲章」をもたない数少ない後進国です。政府の強権的な税務行政で苦しんでいる中小業者をまもるため、「納税者憲章」を制定します。
大企業によるしめつけと切り捨てで、下請け中小企業が悲鳴をあげています。下請代金支払遅延防止法、下請中小企業振興法という法律がありながら、これに違反する行為が横行しています。下請け業者は大企業の報復を恐れて違法を告発できない状況です。下請け業者からの告発を待つのでなく、行政の側から系統的に「立ち入り検査」をおこない、ルール破りが発見されたら、大企業・親会社にペナルティーを科すなど罰則を強化し、ただちに是正させます。
数十万の下請け業者にたいして、政府の下請け検査官は六十三人しかいません。これを抜本的に拡充するとともに、きめ細かな検査をおこなうために、検査官を自治体にも配置します。
下請け二法を改正・強化し、対象を製造業だけでなく他の業種にも拡大します。発注元大企業の責任を二次以下の下請けにも及ぶようにします。一方的な発注の打ち切りや大幅な発注削減にも罰則が適用されるようにします。中小企業の労働条件を悪化させる終業後発注・翌日納品、休日前発注・休日明け納品などを禁止します。
大型店の出店ラッシュと、既存商店街からの大型店の撤退で、商店街が衰退しています。これは、たんに小売業者だけの問題ではなく、街が荒廃し、高齢者が住みにくく、子どもたちを育てる環境も悪化するなど、住民の暮らしの基盤にかかわる大問題です。
大型店の身勝手で無秩序な進出・撤退を規制するため、大型店の出店を許可制とし、地方自治体が独自の規制をできるようにするなどの内容の「大規模小売店舗規制法」の制定をめざします。
商店街の役割を発揮させるため、駐車場の確保、公共施設の配置、野菜・魚・肉類の生鮮三品を販売する小売店の確保、高齢者への配達など、消費者の要求にこたえた商店街づくりを支援します。
中小企業は大銀行の「貸し渋り」で苦しめられてきましたが、政府は「不良債権処理」と称して、不況にあえぐ中小企業への融資打ち切りを大規模にすすめようとしています。「貸し渋り対策」として実施された「中小企業金融安定化特別保証制度」も、今年三月末で打ち切ってしまいました。
銀行の不当な「貸し渋り」を是正し、本来の社会的責任を果たさせます。アメリカの「地域再投資法」にならい、金融機関が地域の資金ニーズにどのように応じているか、具体的な数字を公表し、一定割合の融資を義務づける日本版「地域再投資法」を制定します。融資審査は「物的担保主義」にかたよることなく、中小企業のもつ経営方針や技術力などを総合的に評価する仕組みをつくります。
政府系金融機関を中小企業が利用しやすいように改善するとともに、中小企業信用保険法を改正し、特別小口保険と無担保保険との併用を認め、無担保無保証人融資の利用を広げます。当面の資金繰りのため、「中小企業金融安定化特別保証制度」を再開します。
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