2001年6月1日「しんぶん赤旗」で発表

第19回参議院選挙にあたっての日本共産党の各分野の政策


食料問題

日本の農林業・漁業を守り育て、食料自給率を引き上げる

 多くの国際専門機関が、人口の増加、異常気象、農用地拡大の制約など、さまざまな要因によって、二十一世紀の食料不足を警告しています。ところが、日本の食料自給率は、四〇%まで低下し、日本の人口のうち七千六百万人分の食料を海外に依存せざるをえなくなっています。農業を立て直し、自給率を早期に五〇%に向上させることは国民的課題です。

輸入急増、価格暴落から農家経営と国内生産をまもる緊急対策を実施する

 農産物価格の暴落と水田面積の四割にまで達した減反の拡大(百六万ヘクタール)によって、大規模農家ほど深刻なダメージをうけています。緊急に米価の下支え対策をとり、義務がないにもかかわらず、年間七十数万トンもの外国産米を無理やり輸入することはやめ、すでに輸入した分については海外援助などに役立てるべきです。輸入急増による野菜の生産者価格の低下は深刻です。政府は、ようやくネギ、生シイタケ、イ草の三品目について、セーフガードの暫定発動を決めましたが、対象品目の拡大と本格発動への移行をもとめます。

米を「自由化」の対象からはずすよう、WTO農業協定の改定をもとめる

 日本の主食である米を「自由化」の対象からはずすとともに、生産拡大への助成措置を一律削減・禁止する条項の削除など、WTO農業協定の改正をもとめます。また、農業の多面的な機能を尊重し、食料の安全性を重視した農業貿易ルールにするため、WTO農業協定や衛生植物検疫措置協定の改正を世界に呼びかけます。

価格・所得対策の充実で、農林業の再建をはかり、漁業をまもる

 価格・所得保障……国内生産の拡大を保障するため、農業予算の五割を公共事業が占め、価格・所得対策はわずか二割台という世界的にみても異常な予算の使い方を是正し、価格・所得保障を農政の中心にすえます。二〇〇〇年産米では、農業予算の二%程度を米価対策に上乗せすれば、九八年産米の水準(六十キロ当たり全国平均一万八千五百円)にもどすことができたのです。農山漁村における農林漁業の国土・環境の保全に果たす機能を評価し、条件が不利な中山間地や半島・離島などの農林漁業への支援(直接支払い)をすすめます。

 林業……森林は、木材供給とともに、国土・自然環境の保全、水資源の涵養、二酸化炭素の吸収など多面的機能をもっています。ところが、長期不況と外材輸入増大による木材価格の大暴落などで、国内林業は崩壊の危機に直面し、森林面積の四割を占める人工林の多くが、間伐もできない、伐採しても植林しないなど、急速に荒廃しています。

 森林と林業の再生のために、国の取り組みを抜本的に強化しなければなりません。自民党政治の大規模林道やコンクリートダムに偏重した治山事業などを見直し、国産材の生産・流通対策費がわずか五%という林野庁予算をあらため、住宅建設や公共施設への国産材の利用対策や森林整備に重点的に配分していきます。森林の手入れのための間伐への助成と間伐材の有効利用をすすめます。

 漁業……漁業は、農業とならんで食料を支える大きな柱です。ところが魚介類の自給率は、八五年の九六%から九九年には六五%にまで低下しています。水産資源の保存・管理を国の責任ですすめるとともに、海の生命の“ゆりかご”ともいうべき干潟や藻場をまもるため、諌早湾干拓のような大型公共事業を中止、見直し、漁場を回復させる対策をつよめます。価格暴落の原因である水産物の輸入急増に対し、セーフガードの発動を求めます。

輸入食品や遺伝子組み換え食品の検査の徹底をはかり、安全な食料を確保する

 食料の安全性は国民の健康上、最優先の問題です。大量に輸入している食料品の検査体制を抜本的に強化し、原産国に関する表示の徹底をはかります。口蹄疫(こうていえき)や狂牛病などの家畜伝染病に機敏に対処できるよう研究や対応策を強化します。

 国民の多くが不安感をもっている遺伝子組み換え食品について、品目が限定され、しかも五%までは混入しても表示なしという表示制度をあらため、表示をより広範な品目で厳密にします。承認のための審査も食品添加物なみに強化し、とりわけ遺伝毒性や慢性毒性の検査を義務づけます。


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp