2001年6月1日「しんぶん赤旗」で発表

第19回参議院選挙にあたっての日本共産党の各分野の政策

NPO活動の発展のために


 保健・医療・福祉、社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野で、NPO(民間非営利組織)の活動が注目されています。これらの運動に自発的に参加して、社会のことを考え、貢献したいという市民運動の潮流が各地で発展していくことは、日本社会の進歩にとって、積極的な意味をもつものです。

 特定非営利活動促進法(NPO法)が制定されてから二年半になり、すでに四千をこえる団体が法人格を取得していますが、NPO法は、NPO団体にとって使い勝手が悪いものとなっています。また、今国会で制定されたNPO税制も、不十分なものにとどまっています。NPO活動の発展のために、次のような措置を講じます。

活動分野を広げ、設立審査を迅速化する

 現行のNPO法では、NPOの認証の対象を十二の分野に限定しており、これに該当しない分野の市民団体がNPOの認証を受けにくくなっています。この十二分野に、(1)情報の伝達・普及を図る活動、(2)科学技術および学術の推進を図る活動、(3)産業・流通の振興を図る活動、(4)消費者の保護を図る活動――の四分野を追加します。

 申請のために必要とされる書類を最小限のものに簡素化して負担を軽減するとともに、現行は二カ月となっている審査期間を一カ月に短縮するなど、法人の設立の審査を迅速化します。

NPOへの優遇税制を拡充する

 今年十月から実施される予定のNPOへの優遇税制は、個人や法人がNPOに寄付する場合に、一定の範囲で寄付金控除や損金算入を認め、所得税や法人税を軽減するものです。また相続財産を寄付した場合には、相続税の課税価格に算入しないことになっています。これ自体は前進ですが、NPO団体の実態と要望にてらせば、きわめて不十分です。

 NPO法人の収益事業(NPO本来の目的以外の、資金確保のためにおこなう事業)には、通常の営利企業と同じ税率の法人税がかかります。これを、公益法人と同様の税率に引き下げます。収益事業から得た所得をNPO法人の本来事業に支出した場合は、その五〇%までは損金算入を認めて非課税とします。福祉を目的とするNPO法人が本来事業としておこなう福祉事業にたいする課税は、社会福祉法人に準じて非課税とします。

 個人のNPO法人への寄付については、一万円以下の少額の寄付も控除対象にするとともに、所得控除方式と税額控除方式の選択制とするなど、内容を拡充します。法人からの寄付についても、従来の寄付金枠とは別枠にするなどの拡充をはかります。

 現行法では、優遇税制を受けるためには、国税庁長官の認定が必要ですが、会員に関する事項など、税制面以外の内容も国税庁の認定要件となり、NPO法人の自由な活動がさまたげられないか心配されています。優遇税制を受けられるNPO法人の認定は、一年以上の活動実績、本来事業への支出が七五%以上であること、法人と役員との間での私的取引がないことなどを要件とし、国税庁ではなく、新設する独立した行政委員会がおこなうようにします。


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