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2001年7月19日 日本共産党
日本農業の多くは、家族経営によって支えられています。なかでも、農業就労者の六割をしめる女性は、農業生産の重要な担い手となっています。日本国民の食料は国内でつくるというあたりまえの政策をすてたこの40年間の自民党政治のもとで、減反、生産者価格の暴落など、農業をとりまく困難な状況が広がっていますが、女性を中心に、直販や農産物加工などで農業の新しい分野をきりひらく努力がはじまっています。大事な問題は、女性が果たしている役割にみあった評価がされていないことです。
また、病気や出産のときに安心して休むことができる制度的保障や、援助制度も確立していません。農林水産省の「農村における男女共同参画意向調査」でも、「男女ともに産前・産後に農作業を休むべきだ」と考えている人が8割近くをしめ、20代以上では9割をこえる人が、「完全に農作業を避けるべきだ」と答えています。にもかかわらず、4人に1人が「家族経営なので、出産直前・出産後も農作業をせざるを得ない」という実情におかれています。
日本共産党は、価格・所得保障を農政の中心にすえ、家族経営がなりたつ農業への転換に全力をあげてとりくむとともに、当面する緊急な課題として、農業女性の働く環境の整備、母性保護の充実、子育て支援のために、国と地方自治体におけるとりくみの強化、充実を求めるものです。
出産・子育てと農業を両立させるための条件を充実させることは、将来の農業後継者ともなる若い女性たちにとっても切実な課題です。
出産前後に農作業を休むためには代替の労働力が確保されなければ安心できません。すでに酪農農家にたいする「酪農ヘルパー制度」(農水省の農畜産事業団助成制度)や、「農業労働支援システム」(栃木)、「労力確保システム」(千葉)などもつくられています。「酪農ヘルパー」に準じた「農業ヘルパー」を各県が実施できるように国の支援を強化します。
農繁期、農薬散布などの危険な作業や緊急時などに子育てを応援する「子育てヘルパー」制度をつくります。農林水産省の男女共同参画社会の計画には「女性農業者経営参画支援事業」予算として、ベビーシッターなどの支援が上げられていますが、予算の増額をはかり「出産・子育てヘルパー」の実現をはかります。
労働者の健康保険には疾病、出産時の休業期間の収入保障制度があります。農業・自営業者が加入している国民健康保険には、疾病・出産時の休業補償はありません。すでに両制度を実施した場合に必要な予算を「試算」している自治体もありますが、財政困難で実施しているところはありません。国庫負担をふやし「傷病・出産手当」制度の実現をめざします。
乳幼児をかかえての農作業に不安や危険を感じている女性が少なくありません。ゼロ歳児からの保育の実施、小規模保育所などに対する補助を増額し、希望するだれもが預けられ、地域の子育て相談センターとしての保育所機能の充実をはかります。保育料の負担を軽減します。
農村では、家族間で休日や労働時間、役割分担などを取り決める「家族経営協定」がすすめられています。女性の働きが評価され、やりがいのある環境をつくることが必要です。
女性の農業委員は1989年から1999年の10年間に13倍、984人です。増えたとはいえ、全体の1.6%にすぎません。議会の推薦などで選ばれる選任農業委員などに女性の積極的な選出をはかります。また、農林水産業関係の審議会は18(2000年8月)ありますが、そこに占める女性委員は20.3%です。当面、男女共同参画計画がしめす30%の早期実現をはかります。
「一回一回聞かなくても仕事ができるように技術を身につけたい」―女性の農業・機械技術の向上のために、身近な場所・時間の設定、一時保育所設置など、研修が受けやすい環境をつくります。
地場産業を生かした加工食品は消費者からも歓迎されています。国の「女性の農産物加工等の活動の促進」予算を拡大し、女性が農産物加工技術を習得する研修や、農産物加工事業の促進をはかります。地方自治体は、学校給食に地元野菜・加工品の利用の推進、旅館や業者など異業種との交流の促進をはかるなど、農産物の販路拡大を支援します。
農水省の意向調査では、自分自身の名義で所有したい資産で、「預貯金」が70%をこえています。農業・自営業者は所得税法で、家族従業者の働き分が原則として認められていません。一人ひとりの家族の働き分が正当に認められる税制をつくります。
農業後継者とその配偶者が農地と資産を守り、増やすことに果たした役割に対し「寄 与分」として認める税制改正をもとめます。「家族経営協定」を推進し、農業女性の働く環境を改善します。
「昨年、休んだのは夏に数日ぐらい」「風邪でも人手が足りないと働かざるを得ない」などの声があるように農業女性の労働は過重です。日本共産党の国会質問において、農水省は健康実態調査をする必要性を認めていますが、母性保護、健康、仕事、暮らしなど総合的な農業女性の実態調査を急ぎ労働条件、環境整備改善などの具体的推進をはかります。
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