日本共産党

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

2003年4月18日


第一 題名

 題名を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律」に改めるものとすること。

第二 目的

 この法律は、短時間労働者、有期労働者等について、通常の労働者との均等な待遇の確保を図り、並びに適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置を講ずるとともに、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講じ、もって短時間労働者、有期労働者等の福祉の増進を図ることを目的とするものとすること。(第一条関係)

第三 定義

 この法律において「短時間労働者、有期労働者等」とは、短時間労働者、有期労働者(通常の労働者と同一の事業所に雇用される労働者で期間を定めて雇用されるものをいう。)その他の同一の事業所に雇用される通常の労働者以外の労働者をいうものとすること。(第二条第二項関係)

第四 対象者の拡大

 この法律の対象者を短時間労働者、有期労働者等に拡大するものとすること。(第六条、第七条等関係)

第五 事業主の責務

 事業主は、その雇用する短時間労働者、有期労働者等について、通常の労働者との均等な待遇を確保するほか、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとすること。(第三条第一項関係)

第六 国及び地方公共団体の責務

一 国は、短時間労働者、有期労働者等について、通常の労働者との均等な待遇の確保を図り、及び雇用管理の改善等に関し事業主その他の関係者に対し必要な指導、援助等を行うとともに、短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保を妨げている諸要因の解消を図るために必要な広報その他の啓発活動を行うほか、短時間労働者、有期労働者等の職業能力の開発及び向上等を図る等、短時間労働者、有期労働者等の福祉の増進を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めるものとすること。(第四条第一項関係)

二 地方公共団体は、一の国の施策と相まって、短時間労働者、有期労働者等の福祉の増進を図るために必要な施策を推進するように努めるものとすること。(第四条第二項関係)

第七 短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等

一 均等待遇

 事業主は、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、労働者が短時間労働者、有期労働者等であることを理由として、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならないものとすること。(第五条の二関係)

二 通常の労働者への応募機会の付与等

1 事業主は、通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者、有期労働者等であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、これに応募する機会を優先的に与えなければならないものとすること。(第七条の二第一項関係)

2 事業主は、通常の労働者について、子の養育、家族の介護、職業能力の開発その他の厚生労働省令で定める事由のために、当該労働者の申出に係る期間、短時間労働者として雇用するための措置を講ずるように努めなければならないものとすること。(第七条の二第二項関係)

三 指針

1 厚生労働大臣は、現行の指針に定めるべき事項に加え、一及び二の事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針(2及び3において「指針」という。)を定めるものとすること。(第八条第一項関係)

2 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。(第八条第二項関係)

3 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。(第八条第二項関係)

四 勧告及び公表

1 厚生労働大臣は、短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保又は短時間労働者、有期労働者等の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができるものとすること。(第十条関係)

2 厚生労働大臣は、一又は二の1に違反している事業主に対し、1による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができるものとすること。(第十条の二関係)

五 命令

 厚生労働大臣は、一に違反して四の1による勧告を受けた事業主が、四の2によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該事業主に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。(第十条の三関係)

六 報告及び検査

 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、事業主に対し、必要な報告をさせ、又は所属の職員に、事業主の事業所に立ち入り、関係者に対して質問させ、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができるものとすること。(第三十一条関係)

七 苦情の自主的解決

 事業主は、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の短時間労働者、有期労働者等を代表する者を構成員とする当該事業所の短時間労働者、有期労働者等の苦情を処理するための機関をいう。)を設ける等短時間労働者、有期労働者等から申出を受けた苦情の自主的な解決を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならないものとすること。(第九条の二関係)

第八 罰則

 第七の五による命令に違反した者等に関し、所要の罰則を設けるものとすること。(第三十二条の二等関係)

第九 国の物品及び役務の調達に係る入札及び契約の在り方の検討

 政府は、短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保に資するため、国の物品及び役務の調達に係る入札及び契約の在り方について、第七の一を遵守する事業主に当該調達に係る受注の機会を与える観点から検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(附則第二条関係)

第十 施行期日等

一 施行期日

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、第七の五及び六並びに第八については、別に法律で定める日から施行するものとすること。(附則第一条第一項関係)

2 1のただし書の別に法律で定める日については、この法律の施行後五年を目途として、第七の一の施行の状況等を勘案しつつ、定めるものとすること。(附則第一条第二項関係)

二 その他

 その他所要の規定の整備を行うものとすること。


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