2004年4月24日「しんぶん赤旗」
「子ども読書の日」(四月二十三日)には、各地でさまざまなとりくみがおこなわれました。
絵画を見ることが美しいものを見る目を育てるように、本を読むことは言葉を育て、人生を深く生きる力を育みます。子どもの読書が豊かにおこなわれることを心から願わずにはおれません。
「子ども読書の日」は、昨年十二月の「子どもの読書活動推進法」により制定されました。同法にたいしては、関係者から強い懸念が表明されていました。
それは、同法が(1)個人の内面的な営みである読書を、国家が推進させるという形式をとっている(2)「子どもの健やかな成長に資する書籍」かどうかを行政が点検する根拠となりかねず、かえって健全な図書が排除される恐れが生じるからです。
そのため日本共産党は法案には反対しましたが、子どもの読書を重視する立場から、子どもの読書環境の整備にはおおいに賛成です。
いま同法に基づく「子ども読書活動計画」策定の準備が、政府および都道府県、市区町村で始まっていますが、「計画」が子どもの読書環境の整備に真剣に取り組むものとなるように力をつくすものです。
わが国の読書環境の劣悪さは明らかです。サミット参加八カ国には平均して六千人に一つの図書館があります。ところが日本は四万七千人に一つと八カ国中最低の水準で、実に八倍もの差があります。子どもの生活圏内に図書館がない国といえます。とくに公立図書館が一つもない市町村は49%にもおよびます。市レベルではあと十五で100%設置になります。何より図書館をきちんと設置する計画をたてるべきです。
公立図書館には子どもの本のことが分かる司書が必要です。学校図書館には「開店休業」とならないよう司書教諭や学校司書が必要です。
来年度から十二学級以上の学校の図書館に司書教諭が義務配置されますが、このままでは専任でなく形式的な辞令交付におわりかねません。しかもそれを理由に、これまで専任で配置されていた学校司書をなくす動きすらあります。
こうした動きに歯止めをかけ、専任・専門の職員の配置計画をたてるべきです。また大幅に減少している図書購入費の増額や地域の読書運動への支援策なども必要です。
日本共産党は、以上のような環境整備の計画を住民や図書館、学校関係者などの参加のもとで作成することを主張しています。
国際調査では、日本の子どもたちの読解力は高いが「趣味として読書をする」子どもの割合は最低という結果が出ています。中高生からは受験のために読書どころではないという声も聞こえます。
受験中心の教育が子どもと本の結びつきを弱めていることは、なんとも皮肉な結果です。
ところが文科省は読書推進のため、子どもの読書冊数を競わせ、評価の対象にしようとしています。しかし読書は楽しい暮らしの一部です。読書にまで競争をもちこもうとは、読書の楽しみを知らない者のやり方であり、子どもの読書嫌いをふやしかねません。
親子読書運動やNPO(非営利団体)、教員や保育士など多くの団体や個人の、子どもと本をつなぐ自発的な活動こそ大切です。読書環境の整備とあいまって自主的な活動の輪をおおいにひろげましょう。